北海道経済産業局は、深刻化する人手不足と生産コスト高に悩む地域の中小企業を強力に後押しするため、2019年度より業務効率化を専門的に助言する事業を本格的に始動させました。この取り組みの記念すべき第一弾として、2019年6月12日に、高品質なスモークサーモンで知られる王子サーモン株式会社の北海道工場(苫小牧市)へ専門家チームを派遣したのです。現場では、製品の「骨抜き作業」や「検品」「梱包作業」といった、特に人手が必要とされる工程が細かく視察され、自動化を導入する可能性や、業務のボトルネックとなっている課題について、活発な意見交換が行われました。経産局は、年内を目標に約10社の企業に対し、ロボット技術などを活用した具体的な効率化策を提言する予定です。
王子サーモンのスモークサーモンは、その優れた品質から国内外の著名なホテルや有名料理店からも高く評価されています。これは、製造工程における職人の高い技術力と丁寧な手作業の賜物であると言えるでしょう。しかし、その一方で、魚の骨を一本一本除去する「骨抜き」や、製品の品質をチェックする「検品」など、人の手を介する作業が非常に多く、人手不足が深刻化する現代において、製造コストの増大という大きな経営課題を抱えています。同社の佐藤徹取締役が述べるように、「ロボットの性能は以前よりも格段に向上しており、食品の安全や衛生面を考慮しても、必ずしも全ての工程を人が担当する必要はない」という認識が、今回の専門家派遣を受け入れる動機となったと考えられます。
私が編集者として思うのは、この取り組みは、技術の進歩を積極的に経営に取り入れようとする地方企業の賢明な姿勢を示すものであり、今後の日本のものづくり、特に食品加工業の未来を占う上で非常に重要な一歩になるということです。ロボットなどの「デジタルトランスフォーメーション (DX)」(デジタル技術を用いてビジネスモデルや業務プロセスを変革すること)は、コスト削減だけでなく、ヒューマンエラーの減少や作業環境の改善にも繋がり、企業価値全体を高めるでしょう。
この「スマートものづくり応援隊」事業は、すでに2018年度から開始されていました。初年度は、ノウハウを持つ講師を育成するための実習期間として位置づけられていましたが、2019年度からは本格的な企業支援へと移行しています。現在、北海道立総合研究機構(道総研)や北海道ITコーディネータ協議会などに所属する11名の専門家が登録されており、企業の生産性向上を強力にサポートする体制が整えられています。支援対象企業数も昨年度の7社から10社程度へと増加し、既に約5社の訪問が決定するなど、中小企業からの期待の高さがうかがえます。この活動は、地域経済を支える企業が、新たな技術と知恵を取り入れることで、困難な時代を乗り越えるための道標となるに違いありません。
SNSでは、このニュースに対して「素晴らしい取り組み!地方の中小企業にもっとデジタル化を進めてほしい」「王子サーモンのサーモンは美味しいから、最新技術でさらに安定供給できるようになれば嬉しい」「人手不足はどこも深刻。国や自治体が現場を支援するのは本当に助かる」といった、肯定的な意見が多く見受けられます。特に、北海道の基幹産業である水産・食品加工業における生産性向上への関心は非常に高く、この王子サーモンでの成功事例が、地域全体の事業承継や働き方改革にも良い影響を与えるものと期待されているようです。