2019年6月15日までに、放送業界の倫理を司る機関である放送倫理・番組向上機構、通称BPO(ビーピーオー)の放送倫理検証委員会が、読売テレビ(大阪市)の情報番組『かんさい情報ネットten.』に対し、審議入りすることを決定しました。BPOとは、テレビやラジオ放送が守るべき倫理規定に基づき、放送内容が適切であったかを検証する独立した第三者機関で、社会的な影響力を持つ放送メディアの質を保つ重要な役割を担っています。
問題となったのは、2019年5月10日に放送された同番組の企画コーナーです。この企画では、お笑い芸人の方が、ある飲食店の常連客の方の性別を特定しようとする意図で、その方の身体に触れたり、さらにはプライバシーに関わる保険証の性別欄を確認したりする行為が行われました。この一連の取材手法は、個人の尊厳を深く侵害し、特に性別という非常にデリケートなテーマを扱っていることから、「不適切な取材」として大きな波紋を呼んでしまったのです。
番組放送後、この取材内容に対しては視聴者やインターネット上のユーザーから、「プライバシーの侵害だ」、「セクシュアルハラスメントに当たる」といった激しい非難の声がSNSを中心に瞬く間に拡散されました。特に、多様な性のあり方(セクシュアリティ)への理解が社会的に求められる中で、このような古い価値観に基づいたような演出は、時代錯誤であると指摘する意見が目立っています。読売テレビは、これらの批判を受け止め、事実関係を認めて謝罪するとともに、再発防止策を公表しています。
私見ではありますが、テレビ番組が視聴者の興味を引くために、個人の尊厳を軽視するような一線を越える行為は断じて許されません。特に、情報番組という形式で、あたかも取材対象者を「面白おかしく」消費するかのような姿勢は、報道機関としての倫理観を疑わざるを得ません。今回のBPOの審議入りは、放送業界全体が改めて人権意識と倫理観を見つめ直すための、重要な契機となるべきでしょう。
一方で、同じくBPOの審議対象となっていた日本テレビのバラエティー番組『世界の果てまでイッテQ!』のやらせ疑惑については、放送倫理検証委員会が意見書をまとめ、2019年7月初旬にも通知し、公表する見通しです。人気番組における「やらせ疑惑」もまた、放送の**「真実性」**という根幹に関わる重大な問題であり、BPOによる検証結果が放送界にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していく必要があるでしょう。