2019年6月15日の報道によると、シャープの戴正呉会長兼社長が、今後の事業戦略、特に国内の構造改革と、液晶パネル業界の再編について重要な見解を表明されました。戴社長は、コスト意識の浸透が進んでいるものの、構造改革は「完了したとは全然思っていない」と強調されており、さらなる効率化を追求する姿勢が鮮明になっています。国内の事業拠点は依然として多いとの認識から、今後は工場だけでなく開発拠点も含めて集約を進め、関東・関西・中国の3地方に中核拠点を設置する方針を示しているのです。
また、社員の間にコスト意識が根付いてきた手応えを感じているとして、経営判断のスピードアップを図るために、共同最高経営責任者(CEO)の決裁権限を、同年7月から2018年までの2000万円から1億円未満へと大幅に引き上げると表明しました。これは、現場に近いところでの意思決定を促し、より機動的な事業運営を目指す意図が見て取れるでしょう。私見では、このような権限委譲は、社員一人ひとりの責任感とオーナーシップを高め、企業全体の活性化に繋がる非常に意義深い施策だと考えられます。
そして、多くの関心を集めている、経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)への支援については、「何も話は来ていないがシャープとしてはオープン」な姿勢を示しました。JDIからの要請があれば、支援を検討する用意があるとしています。具体例の一つとして、シャープがJDIの工場を借り受けて運営し、利益を生み出すことができれば、JDIの経営負担を軽減できるというアイデアを提示しています。これは、同じ液晶パネルの技術を持つ企業として、シャープが再びテレビ用液晶パネル市場に本格的に再挑戦する可能性を示唆しているとも言えるでしょう。
このシャープのJDI支援に関するオープンなスタンスは、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。「シャープが救世主になるのか?」「JDIの技術とシャープの経営力で、日本の液晶産業は復活できる」といった期待の声が上がる一方で、「シャープの経営リソースが分散しないか心配」「鴻海傘下としてのシナジーをどう生かすのか」といった慎重な意見も散見されます。しかし、長らく苦境にあるJDIにとって、技術的な親和性の高いシャープからの支援は、一筋の光となることは間違いないでしょう。
さらに、当時懸念されていた米中貿易摩擦の影響については、利益面での大きな変化はないとしつつも、売上高については顧客の状況によるため明言を避けました。シャープ製品全体への影響は限定的であり、子会社が行っているスマートフォン用カメラレンズの**華為技術(ファーウェイ)向けの取引についても、「利益が出る限りは取引を続けたい」との意向を表明しています。ファーウェイは、中国を代表する通信機器メーカーであり、世界的に高いシェアを持つ企業です。この発言は、政治的な問題とは切り離し、あくまで経済合理性に基づいた経営判断を優先するという、戴社長のリアリストとしての側面を強く印象づけるものでしょう。
また、親会社である鴻海(ホンハイ)**精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が台湾総統選へ出馬するために董事長を退任した件についても言及がありました。戴社長は、自身が郭氏から厚い信頼を得ており、シャープの経営は「ほぼ独立して」行ってきたため、経営面での影響は「あまりない」と断言しました。実際に、郭氏はシャープの本社に来たのは一度きりだと述べ、シャープの自立的な経営体制を強調しているのです。これは、鴻海グループの一員でありながらも、シャープ独自の道を切り開くという強い決意の表れであると拝察します。