🤝米中ロの対立の行方は?「反保護主義」で一致した上海協力機構のG20に向けた共同宣言とその狙い

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2019年6月14日、中国とロシアが主導する上海協力機構(SCO)の首脳会議がキルギスの首都ビシケクで開催され、「保護主義に対抗する」ことを柱とする共同宣言が採択されました。世界的な貿易摩擦が激化する中で、特にアメリカの保護主義的な政策を念頭に置いたこの宣言は、G20大阪サミットを目前に控える中国とロシアが、関係国と連携してアメリカを牽制する狙いが見え隠れしており、その動向に大きな注目が集まっています。加盟国の人口が世界全体の約4割、30億人を超える巨大な地域協力組織であるSCOが一枚岩となって打ち出したメッセージは、国際社会にどのような影響をもたらすのでしょうか。

会議には中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領に加え、インドのモディ首相ら各国首脳が一堂に会しました。アメリカと中国の間で貿易摩擦が過熱するこの時期に、参加国からアメリカの保護主義的な動きに対する強い批判が噴出したのです。習主席は会議の場で「自由貿易や、国際的なルールに基づいた公正な秩序のために協調が求められる」と強く呼びかけました。これは、追加関税という形で中国に圧力をかけるトランプ米政権を、間接的に非難する発言だと捉えることができます。

また、共同宣言では、アメリカが離脱したイラン核合意の維持についても一致しました。中東でタンカーが攻撃される事件が発生し、アメリカがイランの関与を指摘する緊迫した状況の中、準加盟国として参加したイランのロウハニ大統領は事件への直接的な言及は避けつつも、アメリカによる対イラン制裁が「正常な貿易取引を阻害している」と強く非難しています。さらに、ロシアのプーチン大統領もアメリカのイラン核合意からの離脱について、「核不拡散の体制を破壊しかねない危険な行為である」と批判的な見解を示しました。

このSCOとは、中国とロシア、そして中央アジアの4カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン)が2001年に設立した地域協力組織です。2017年にはインドとパキスタンが新たに加盟し、その影響力を拡大し続けています。中国とロシアが主導するこの枠組みは、今回の共同宣言に盛り込まれたミサイル防衛(MD)システムの拡大に対する懸念表明からもわかるように、アメリカの軍事的な動きに対しても強い警戒感を示しています。共同宣言では、アメリカを念頭にMDシステムの拡大は「世界情勢を不安定化する」とけん制しているのです。

今回のSCOの動きは、2019年6月下旬に開催されるG20大阪サミットでのアメリカとの交渉を有利に進めたいという中国とロシアの思惑が透けて見えるようです。トランプ米大統領はG20で、中国とロシアそれぞれとの首脳会談を開く意向を示しています。貿易問題や安全保障、さらにはイラン問題といった複雑な国際課題を抱える中で、中ロがSCOという枠組みを通じて連携を強化し、アメリカとの交渉に臨む姿勢は非常に戦略的であると言えるでしょう。この「反保護主義」の旗印の下に集まったSCO諸国の動向は、今後の国際情勢の展開を占う上で極めて重要な要素となるでしょう。

この報道に対するSNS上での反響は、「米中貿易戦争の裏側で、巨大な『反米ブロック』が形成されつつあるのではないか」「G20を前にした中ロの共同戦線は、アメリカにとって大きな圧力になるだろう」といった、国際政治の行方を懸念する声が多く見受けられました。また、「自由貿易を訴える一方で、SCO自身の貿易慣行はどうなのか」といった、中ロの主張の二面性に対する冷静な指摘もありました。国際的な秩序のあり方を巡る大国間の綱引きは、今後も激しさを増すことが予想されます。

🇺🇸保護主義と戦うSCOの姿勢に編集者として思うこと

編集者としての私の考えを述べさせていただきますと、今回のSCO共同宣言は、アメリカ一極集中の時代が終わりを告げ、多極化する世界を象徴する出来事だと感じています。アメリカの「自国第一主義」的な政策、すなわち、自国の利益を最優先し、国際的なルールや多国間協調を軽視する姿勢が、結果として中国やロシアといった大国同士の連携を強めるきっかけになっているのではないでしょうか。もちろん、中国やロシアの体制や外交姿勢に対しては、人権問題や覇権的な行動など、多くの懸念点が存在します。

しかし、「保護主義に対抗する」というメッセージ自体は、世界経済の安定と持続的な発展を願う多くの国々にとって、共感できる普遍的な価値観を含んでいます。保護主義とは、関税や輸入制限などを設けて自国の産業を他国の競争から守ろうとする経済政策のことですが、これが世界的に広がると、自由な貿易が阻害され、かえって世界経済全体の縮小を招くリスクがあります。中ロがこの宣言を打ち出すことで、G20という国際的な舞台で、自由貿易の重要性を改めて訴え、アメリカの政策に対する国際的な議論を促す効果は大きいでしょう。国際社会は今、自由で開かれた経済秩序を維持していくために、何をすべきか真剣に考える岐路に立たされていると言えるでしょう。

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