【2019年最新動向】社外取締役の「質」が問われる時代へ!コーポレートガバナンス指針改訂で企業価値向上を目指す動きを徹底解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

2019年6月の株主総会シーズンを迎え、企業の経営監視を担う社外取締役のあり方が大きな注目を集めています。かつては選任の「数」が焦点でしたが、2015年から適用されている企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が浸透したことで、現在は、その「質」や「適性」、そして「多様性」が厳しく問われる段階へと移行しているのです。

実際、企業側も候補者の適性を巡る意見に対して、積極的な情報開示を行う事例が相次いでいます。例えば、マツモトキヨシホールディングスは、株主総会を2019年6月27日に控え、補足資料を通じてある社外取締役候補の2018年度取締役会への出席率が70%であった点について言及しました。同社は、欠席時でも意見が取締役会に反映されていることや、今年度は改善が見込まれることを丁寧に説明し、候補者の適性を訴えています。また、ディー・エヌ・エー(DeNA)においても、ある社外取締役候補に対する、他社との兼職が多いという指摘に対し、会社側の見解を開示するなど、適性に関する動きは枚挙にいとまがない状況です。

この背景には、コーポレートガバナンス・コードの存在があります。この指針によって、上場企業は原則として社外取締役を2名以上選任することが求められてきました。その結果、2018年時点では東証1部上場企業の9割超で2名以上の選任が実現しており、社外取締役の設置自体は日本企業に根付いたと言えるでしょう。今後は、形式的な選任に留まらず、経営の透明性を高め、企業価値向上に貢献する実効性が求められることになるはずです。

特に、2018年に改訂された指針では、取締役会に対してジェンダーや国際性といった側面を含む多様性を持つよう具体的に要請しています。この指針にいち早く応える動きとして、東京エレクトロンは今年の株主総会で、元インテル日本法人代表取締役社長の江田麻季子氏を、同社にとって初となる女性の取締役として起用する議案を諮る計画で、多様性重視の姿勢を明確に打ち出しています。取締役会の構成に女性を取り入れることは、幅広い視点を経営に取り込み、より多角的な意思決定に繋がるため、グローバル競争力を高める上で極めて重要だと考えられます。

こうした「質」への要求は、海外の機関投資家や議決権行使助言会社からも強まっています。例えば、米国の議決権行使助言会社であるグラスルイスは、2020年からは東証1部・2部の上場企業を対象に、女性の役員が一人もいない場合、社長や会長などの選任議案に反対推奨をする方針を打ち出しており、日本の企業の取締役会における女性の登用は待ったなしの状況です。また、独立性や職務遂行能力に関する基準も厳しくなってきました。

世界的な大手資産運用会社であるブラックロックは、社外取締役の取締役会への出席率が75%未満であり、かつ納得できる合理的な説明がない場合には、その再任に反対する方針を示しており、取締役の職責を果たすことの重要性を強調しています。さらに、フィデリティ投信は、企業が安定株主として長期保有する政策保有先から招聘された社外取締役に対しては、独立性がないと判断する独自の基準を規定しています。機関投資家が個々の企業の状況を深く分析し、その適性を厳しく評価する時代になったのです。

このような厳しい視線は、日本に根付いた社外取締役制度が、いよいよ「経営の監視役」としての役割をどう実効性のあるものにするかという、第2段階に突入したことを示しています。単に数を揃えるだけでなく、専門知識、経験、そして独立性を備えた優秀な人材を登用し、企業価値向上への貢献を株主に対して明確に示すことが、これからの企業経営には不可欠となるでしょう。企業側の積極的な情報開示と、投資家側の厳格な評価が絡み合うことで、日本のコーポレートガバナンスはさらに進化していくに違いないと確信しています。

インターネット上では、「社外取締役の出席率の開示は当然」「企業の説明責任が増すのは歓迎すべき変化」「多様性確保は遅れている日本企業へのプレッシャーになる」といった、今回の動きを評価する声が多く見受けられます。一方で、「形式的な多様性ではなく、真の適性を評価すべきだ」「中小企業での人材確保がより難しくなるのでは」といった、制度運用への懸念を示す意見も散見されます。しかし、この流れは世界的な潮流であり、企業が持続的な成長を遂げるために避けて通れない課題と言えるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*