🚀IPO株はなぜ急騰する? 2019年の公開価格決定の「法則」と賢い投資戦略を徹底解説

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2019年は、5月にアメリカのウーバーテクノロジーズをはじめ、世界的に大規模な新規株式公開(IPO)が相次いでいます。日本国内でも、将来の成長が期待できる若い企業が続々と市場に登場しており、個人投資家の注目を集めています。しかし、IPO株は独特な値動きをするため、投資には注意が必要です。この特有の「法則」を理解し、賢く投資を考えることが大切でしょう。

例えば、3月に東証マザーズ市場へ上場したサーバーワークスの事例を見てみましょう。同社は、米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービスを利用した企業向けシステム構築を手掛ける企業ですが、上場2日目に付いた初値は、公開価格の実に3.8倍にも達しました。このように、IPO直後の株価は高騰するケースが多く見られます。

今年の国内市場では、6月12日までに上場した29社のうち、27社で初値が公開価格を上回る結果となりました。一時、6月4日に福岡証券取引所へ上場した大英産業が、連続して初値が公開価格を上回る「連勝記録」を15でストップさせましたが、岡三証券の小川佳紀日本株式戦略グループ長は、「引き続きIPOへの引き合いは強い」と述べており、個人投資家の期待の高さがうかがえます。

投資家の大きな期待の表れとも言えるこの現象ですが、実は初値が公開価格を上回りやすいのには、合理的な理由が存在しています。企業が証券取引所に上場を承認されると、まず株価を決定するために、証券会社を通じて機関投資家から意見を集めます。この意見を基に、「1,000円から1,500円」といった幅を持たせた「仮条件」を設定し、「ブックビルディング」という需要調査を経て、最終的な公開価格が決定される仕組みです。

公開価格を決める際には、すでに上場している同業他社の株価や、一株当たりの純利益に対して株価が何倍になっているかを示す指標である**PER(株価収益率)**などが参照されます。しかし、通常は適正価格(フェアバリュー)よりも低めに設定される「IPOディスカウント」という調整が加えられるのです。これは、(1)情報開示の履歴が少ないこと、(2)価格変動リスクを予測しにくいこと、(3)株式を購入してから上場するまでの市場変動リスクを投資家が負うこと、といった理由によるものです。SMBC日興証券によると、「投資家からは一般的に適正価格より2~3割のディスカウントが求められる」とのことです。

このように、公開価格が割安に設定される傾向があるため、上場後の初値は必然的に上がりやすくなります。短期的な値上がりを期待した投資家の買いが集中し、上場後の株価をさらに押し上げる要因となるのです。ただし、その後も株価が上昇し続けるケースもありますが、逆に下落してしまう例も多く見られます。今年上場した29社のうち、17社は初値を下回る水準となっているのが現状です。

👀IPO株の初値高騰後に株価が下落するメカニズム

初値がついた後に株価が下落する背景には、需給の要素が大きく関わっています。公募・売り出しされる株式の7~8割が個人投資家向けとされており、楽天証券の土居雅紹執行役員は「抽選に当たった個人投資家の大半が初日に売却する」と指摘しています。短期的な利益を目的とする個人投資家が多いことから、初値で利益を確定しようという売り注文が集中し、その結果、株価が下落する傾向にあるのでしょう。

一方、投資信託の運用会社や年金基金、ヘッジファンドなど幅広い層からなる機関投資家は、短期での売却か長期保有かの判断が分かれる傾向があります。一般的には、「取得できた株式数が少ない場合や、初値が高いほど手放す率は高まる」と国内大手運用会社は見ています。つまり、初値での高騰は、短期的な売り圧力を生む大きな要因となるのです。

また、特定の既存株主の売却を一定期間制限する「ロックアップ」の期間が終了した後にも、売り圧力が強まる可能性があるので注意が必要です。この制限期間は90日または180日が一般的ですが、制限の有無や期間は「目論見書」で必ず確認するようにしましょう。

目論見書では、既存株主の構成も重要なチェックポイントとなります。特に、**ベンチャーキャピタル(VC)**のような、企業成長を支援する代わりに資金を出資し、上場時にその投資資金の回収(イグジット)を目的とする株主が、高い保有比率を占めている場合には、売りが出やすくなるため注意が必要です。SNS上でも、「ロックアップ解除日は要チェック」「VCが持ってる株が多いと、その後の値動きが心配」といった声が散見されており、投資家の関心が高いポイントであることが分かります。

💡IPO株で成功するための投資戦略

IPO株への投資で成功するためには、上場後の「実力」を評価する視点が欠かせません。上場後初めての決算発表は、まさに注目すべきイベントです。上場時に公表した業績予想や成長戦略の進捗、そして情報開示の姿勢などを確認できる貴重な機会となるからです。この時期は、話題性や値動きを重視した短期売買から、企業の「実力」を評価し、中長期的な視点での資金が動き始める時期と言えるでしょう。

投資家としては、短期的な値上がり益を狙うだけでなく、企業の将来性を冷静に見極める姿勢を持つべきです。通期決算が発表された際には、有価証券報告書を確認し、上場後の株式保有比率の変化を把握することも重要です。VCなど売り圧力の強い株主の保有が減少していれば、業績や成長性などの観点から、腰を据えた長期的な投資がしやすくなるでしょう。2019年のIPO市場は活況ですが、初値高騰の裏にある「法則」を理解し、情報武装を怠らないことが、賢明な投資へと繋がるに違いありません。

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