近年、消費者の間で「所有から利用へ」という価値観のシフトが急速に進んでおり、その流れを象徴するのが「サブスクリプション」と呼ばれる定額課金サービスです。このサブスクリプションとは、製品やサービスを買い取るのではなく、利用した期間に応じて月額や年額などの料金を支払うことで、継続的に利用できるビジネスモデルを指します。2019年6月15日に発表されたマクロミルと翔泳社の共同アンケート調査によれば、全国の15歳から59歳の男女1,000人のうち、36.1%の人が現在サブスクサービスを「使っている」と回答しています。さらに、「以前は使っていた」という回答も含めると、実に46.3%がサブスクリプションの利用経験を持っているという結果となり、この形態がすでに半数近くの消費者に浸透している状況が明らかになりました。
特に顕著なのが、エンターテインメント分野での利用の広がりでしょう。サブスクリプションの利用者層を深掘りしてみると、動画配信サービスは驚異の80.9%が利用しており、多くの人が時間や場所を問わず多様なコンテンツを楽しんでいる様子が窺えます。また、音楽配信サービスの利用率も38.8%と高く、さらに本・雑誌・コミックの配信も17.7%の利用者がいるという結果が出ています。これらのデータは、映像、音響、活字といった娯楽コンテンツを手軽に「利用」したいというニーズが、定額制サービスによって強く満たされていることを示していると言えるでしょう。
この調査結果は、SNSでも大きな反響を呼んでおり、「動画と音楽はもうサブスクなしでは考えられない」といった共感の声や、「昔はCDやDVDを買っていたけど、今は本当に便利になった」といった時代の変化を実感する意見が多く見受けられます。また、「サブスクは固定費として見直すこともあるけれど、利用できるコンテンツの量を考えると圧倒的にコスパが良い」といった、経済合理性からサブスクを評価する声も目立っています。この状況は、もはやサブスクが単なる新しいサービスではなく、人々の生活に深く根付いた新しい消費のインフラになりつつあることを物語っています。
現在利用されているサービスはエンタメ分野が中心ですが、今後「利用したい」と消費者が期待している分野は、さらに裾野を広げているようです。動画や音楽配信などに続く利用意向の第4位には、「飲食」が15.2%の回答を得てランクインしました。これは、特定の飲食店での定額メニューや、定期的な食品・飲料の配達サービスなど、食の分野でも手軽さや継続的な利用への需要が高まっていることを示唆しています。さらに、将来的には飛行機の利用や美容院など、これまで定額制とは縁遠かったサービスへの導入を希望する声も挙がっており、消費者が生活のあらゆる側面で「利用」の利便性を求めていることが分かります。
これらのデータから、定額制モデルが持つ「初期費用を抑えて様々な体験ができる」という魅力が、非常に多くの消費者に受け入れられていることが見て取れます。特に、若年層を中心に「所有する」ことへのこだわりが薄れ、「必要なときに、必要な分だけ利用できる」という柔軟性や手軽さが重視されていると考えられます。今後、技術の進化とともにサービスの多様化が進み、定額制を採用するビジネスの分野は、ますます広がっていくでしょう。私見ですが、このサブスクリプションという形態は、消費者がより豊かでパーソナライズされた体験を得るための、鍵となる存在になっていくものと確信しています。