🍫高騰するカカオ豆!チョコレートの価格に波及か?西アフリカ減産懸念と生産国の新戦略を徹底解説

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2019年6月15日、チョコレートの主原料であるカカオ豆の国際価格が、約1年ぶりの高値を記録しています。指標となる先物相場が、3月下旬から16パーセントも急上昇しており、この背景には、主要な産地である西アフリカでの減産懸念と、生産国による販売戦略の変化があるようです。

ロンドン市場でのカカオ豆の先物価格は、一時1トンあたり1,850ポンド前後と、2018年5月下旬以来の最高値をつけました。これまでは1,600~1,700ポンド台を中心とした値動きが続いていたものの、6月に入りその上値のレンジを突破したことで、専門商社からは「投機筋の買いが入った」との指摘が出ています。相場がこのまま上昇を続けますと、私たちの身近なチョコレート製品などの価格に影響が及ぶ可能性が懸念されるでしょう。

天候不順による供給不安と生産国の協調体制

世界最大の生産国であるコートジボワールでは、2018年10月から2019年9月までの18~19年度の供給量は前年度から20万~30万トン増加し、国際ココア機関(ICCO)が2019年5月末に発表した予測では、約3万6千トンの供給過剰になる見通しでした。しかしながら、産地では天候不順による2019年10月からの19~20年度の生産量への懸念が広まっています。具体的には、コートジボワールで収穫期に向けてカカオの木に実や花がついている現状において、雨が少ない天候が続き、この雨不足が続けば、カカオの生育が遅れてしまう可能性があるのです。

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このような供給不安に加え、生産国が連携して高値で販売する方針を示したことも、価格高騰の大きな要因となっています。2019年6月11日から12日にかけて、ガーナで開催された国際会議には、コートジボワールとガーナの両政府高官も参加しました。この会議では、カカオ豆の最低販売価格を1トンあたり2,600ドル(現在の相場から約1割高い約2,050ポンドに相当)とすることが提案されました。

この協調体制の目的は、農家への配当拡大や持続可能な生産を維持することにあるとされています。カカオ豆の生産は、両国にとって外貨を獲得するための極めて重要な産業です。しかし、2017年には供給過剰によって国際相場が急落した苦い経験があるのです。今回、両国が共同歩調を取る姿勢を示すことによって、相場を底上げし、投資家の買いを誘引していると考えられます。

堅調な世界的な消費、注目の健康効果

世界経済の減速によって、嗜好品であるチョコレートの需要が鈍るという見方もあるなか、カカオ豆の消費は世界的に堅調に推移しています。2019年1月~3月期においては、アジアの消費量が前年同期比で10パーセントも増加しており、地域別で最大の消費地である欧州でも3パーセント増を記録しました。

主産国の一つであるインドネシアでは、病害や木の高齢化、あるいはパーム油などへの転作によって生産が減少傾向にある一方で、カカオ豆の輸入は増加しています。世界全体で見ても、消費量は5パーセント弱の伸びを示しており、この需要の強さも相場を下支えしていると言えるでしょう。特に、近年注目されているカカオポリフェノールの健康効果への関心も、消費を後押ししている要因の一つだと考えられます。

日本国内の消費も堅調です。日本チョコレート・ココア協会によりますと、2018年のカカオ豆の輸入量は約5万8,600トンと、前年比で7パーセントも増加しました。専門商社のコンフィテーラ(東京・港)からは、原料が高騰した2014年~2015年には国内でチョコレート製品の値上げが相次いだ経緯を踏まえ、国際相場の上昇が続けば「為替相場が円高に振れても相殺するのは難しいだろう」との声が出ており、再び国内での値上げが広がる可能性があるでしょう。

編集者としての見解:持続可能な生産への期待

今回のカカオ豆価格の高騰は、単なる投機的な動きだけでなく、気候変動による天候不順という避けられないリスクと、生産国が主体的に生産者の生活向上と持続可能なカカオ生産を目指すという強い意志が反映された結果だと感じられます。カカオ豆は、高温多湿の熱帯地域などで栽培される植物の種子で、ラグビーボールのような実の中の豆がチョコレートやココアの原料となります。国連食糧農業機関(FAO)の2017年の統計によれば、世界の生産量は約520万トンで、このうち西アフリカのコートジボワールとガーナの2カ国で実に6割弱を占めています。

カカオ豆は、コートジボワールの輸出額の約4割、ガーナでは約2割を占める、まさに「金のなる豆」ですが、国際価格の変動に翻弄されがちでした。両国が提唱する最低販売価格の設定は、世界的なSDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる現代において、生産者への適正な利益還元と、病害や木の高齢化が進む農園の維持・改善に繋がることを期待したいものです。消費者の立場としては、価格上昇の懸念はありますが、私たちが愛するチョコレートが、環境と生産者に配慮された方法で作られるようになる一歩だと捉え、今後の動向を注視していくべきでしょう。

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