情報科学者が惚れ込んだ!英語の「警句」が人生の扉を開く:キャサリン・ヘプバーンからカーソン・マッカラーズまで

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子供の頃には、誰しもが何のわだかまりもなく、物事の本質を真っ直ぐに見つめ、心に浮かんだ本音を話していたものでしょう。ところが、大人になると、さまざまな「はばかり」が生じ、純粋な視点や本音でのコミュニケーションが難しくなってしまいます。そんな大人にこそ必要だと感じるのが、短いながらも深い真実を突く「警句」にハッと気づきを得る体験ではないでしょうか。

警句の言葉は、普段、私たちが自ら閉ざしてしまっている「本物」の世界への扉を、一瞬で大きく開いてくれます。それはまさに、ものの見方がガラリと変わる「目から鱗が落ちる」ような、貴重な経験をもたらしてくれるものです。今回ご紹介したいのが、そんな珠玉の警句を集めた一冊、加島祥造氏による『英語名言集』(岩波ジュニア新書)です。この本との出会いは、妻の書棚から借りたことに端を発しますが、その魅力に夢中になり、気がつけばもう20年以上も経つのに、未だに返せていないほど熱中しています。

世界観を一変させる、二つの珠玉の警句

この名言集から心に響く言葉の一つに、大女優キャサリン・ヘプバーンの警句があります。それは、「Plain women know more about men than beautiful ones do.」(美人でない女のほうが、美しい女よりも、男についてよく知っている)というものです。この言葉自体は、ある意味で「当たり前のこと」に聞こえるかもしれません。しかし、これをハワード・ヒューズをはじめとする多くの男性遍歴を持つキャサリン・ヘプバーンという、私自身が大ファンである大女優が語ったとなると、その言葉の重みが全く異なってくるのです。彼女は本当に「男についてよく知ってい」たからこそ、この言葉には揺るぎない説得力があります。

約3年前、テレビ番組で宝塚歌劇団の元男役トップスターであり、「宝塚歌劇の殿堂」にも入られている剣幸さんとご一緒した際、このキャサリン・ヘプバーンの話題で大いに盛り上がったことがあります。演技派で大変な努力家としても知られる剣さんも、実はキャサリンの大ファンだったのです。キャサリンに深く共鳴されるのはよく理解できますし、剣さんのような別世界で活躍されている方と、たった一つの言葉で気持ちが通じ合えたことは、この本がくれた素晴らしい恩恵だと感謝しています。

もう一つ、奥深い警句として挙げたいのが、米国の小説家カーソン・マッカラーズの言葉です。「A Tree, a Rock, a Cloud.」(一本の木・ひとつの岩・そして雲)という、簡潔ながら示唆に富んだ言葉です。これは、「もし本当に人を愛したいのであれば、まず木や岩や雲といった自然を愛することから始めなければならない」という深い哲学を内包しています。この言葉は、カーソン・マッカラーズの短編小説の中で、街の浮浪者のセリフとして語られるのですが、その深みと鋭さに驚かされます。

この短編小説の原作は、インターネット上で全文が公開されています。実際に読んでみると、物語自体は非常に短く、分かりやすい内容なのですが、その切れ味は鋭く、読後に残る余韻が非常に深い作品です。この名作を読む「きっかけ」を与えてくれただけでも、『英語名言集』の恩恵は、計り知れないものがあると感じています。

時代を超えても響く警句と、情報科学者としての共鳴

ところで、ベンジャミン・フランクリンの有名な警句に「Remember that time is money.」(覚えときなさい、時は金なり)というものがあります。この言葉に対して、加島祥造氏は、「ごく狭い真実を語るだけだ」として、これを否定的な視点で捉えておられます。私自身、この加島氏の意見には激しく共感するところがあります。

確かに、時間は貴重な資源であり、効率を重んじる現代社会の根幹をなす考え方の一つです。しかし、人生の真実や本質は、「効率」や「金銭的価値」だけで測れるものではありません。警句が持つべき真髄は、物事を多様な角度から捉え、生き方や人との関わり方に光を当てる、より深い洞察にあるのではないでしょうか。情報科学者として、現在、私は10億分の1秒という単位で進む仮想通貨の計算処理を眺めています。このような、時間の価値が極限まで高められた21世紀の現在という時代に、あえて「時は金なり」を否定する警句に共鳴することは、人間にとって本当に大切なものが何であるかを問い直す、重要な視点だと考えています。

SNSでの反響に目を向けても、多くの人が、このような「短い言葉に込められた深い真実」に魅了されていることが分かります。あるユーザーは、「たった一言で、モヤモヤしていた悩みの本質が見えた」と投稿していますし、また別のユーザーは、「日常の中に埋もれている大切なことに気づかせてくれるのが警句の力だ」と、その価値を語っていました。警句は、現代人が忘れがちな本質や、複雑な人間関係の本音をシンプルに表しているからこそ、多忙な現代人の心を打つのだと考えられます。

私見ではありますが、警句とは、言葉が持つ力、つまり「言霊(ことだま)」を凝縮した知恵の結晶だと思います。私たちは、日常の煩雑さに囚われ、思考が狭くなってしまいがちです。だからこそ、時に立ち止まり、先人たちの残した鋭い警句に触れることで、凝り固まった自分の視野を広げ、新たな視点や生きる知恵を得ることが、より豊かな人生を送るための鍵となるでしょう。加島祥造氏の『英語名言集』は、2019年6月15日の時点で、まさにそのような「別世界への扉」を開いてくれる、かけがえのない一冊であると感じています。

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