2019年6月14日、国土交通省は、格安航空会社(LCC)であるエアアジア・ジャパン(本社:愛知県常滑市)に対し、航空法に基づく**「業務改善勧告」を行いました。この重大な措置は、同年3月に中部国際空港発台北行きの便に乗務する予定だった副操縦士が、「酒気帯び」**の状態で乗務したという事態を重く見た結果です。この副操縦士には、業務停止60日という厳しい処分が下されていますが、問題の本質は個人の不祥事に留まりません。国交省は、今回の勧告において、「重大事故を招きかねない」行為であり、「法令順守への意識が組織的に欠如している」と、会社全体の安全管理体制へ強い懸念を示しています。
今回の問題で注目すべき点は、アルコール検査体制の運用にありました。副操縦士は、乗務前に実施された呼気検査で、同社が試験運用中だった「高感度のストロー式検知器」によってアルコールを検出されていました。実は国交省は、パイロットによる飲酒不祥事が相次いでいたことを受け、同年1月より、「微量でもアルコールが検出されれば乗務を禁止する」という新たな規制を開始したばかりでした。にもかかわらず、エアアジア・ジャパンは、会社として正式採用していた「吹き掛け式検知器」ではアルコールが検出されなかったとして、副操縦士に乗務を許してしまったのです。この対応は、法令順守に対する企業としての姿勢が問われる、極めて不適切な判断だったと言わざるを得ません。
この一連の報道は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも大きな反響を呼んでおり、特にLCCを利用する利用者からは「LCCは価格が安い代わりに、安全面で妥協があるのではないか」といった**「安全神話崩壊」を懸念する声が多数投稿されています。また、「せっかく新しい規制ができたのに、会社側の運用が甘いせいで意味がなくなっている」「検査で反応があった時点で、なぜ止める判断ができなかったのか」など、会社側の危機意識と安全管理体制への批判が集中しています。航空機の安全運航は、乗客の命を預かる「公共の信頼」**に直結するものであり、いかなる理由があっても飲酒が許されないのは当然のことでしょう。
相次ぐ飲酒問題と国交省の厳格な対応
実は、この時期、日本の航空業界では飲酒を巡る問題が立て続けに発生しており、国交省は非常に厳格な姿勢で臨んでいます。例えば、今回のエアアジア・ジャパンの件に加え、全日本空輸(ANA)グループのエアージャパンでは、3月に**「大量飲酒」が発覚し、乗務予定だった便に遅れを生じさせた副操縦士(当時)が業務停止90日の処分を受けています。さらに、バニラ・エアでも、4月に「試験飛行」において機長らがアルコール検査を失念するという事態が起こり、同社は国交省から「厳重注意」**処分を受けました。
これらの事例が示唆するのは、航空会社がコスト削減を優先するあまり、「コンプライアンス」、すなわち法令や社内規定を遵守する意識が希薄になっていないかという構造的な問題です。特にLCCは、効率的な運航を追求するビジネスモデルですが、その効率化が安全運行の基礎を揺るがすことがあっては絶対にいけません。今回の国交省の業務改善勧告は、エアアジア・ジャパンに対し、単なる再発防止策の提出だけでなく、組織風土そのものを抜本的に見直すよう求める、極めて重いメッセージであると私は考えます。利用者が安心して空の旅を楽しめるよう、航空会社各社には、今回の事態を他山の石とし、**「安全第一」**の原則を徹底していただきたいと強く願うばかりです。