大阪の地域経済を支える中小企業の皆様にとって、新たな事業の柱を築くことは喫緊の課題でしょう。そうした中で、大阪商工会議所(大商)は、企業の医療機器開発を力強く後押しする新体制を構築し、注目を集めています。2019年6月15日に発表されたこの取り組みは、単なる資金援助に留まらず、現場のニーズ掘り起こしから販売に至るまでの全工程をサポートする包括的な支援策なのです。
特に重要なのは、大商が全国最大規模の約5万人もの会員を有する大阪府看護協会と手を組んだ点です。これは、医療機器開発の「入り口」となる現場の需要発掘において、極めて強力な連携と言えるでしょう。看護や在宅医療の最前線が抱える現実の課題を洗い出し、それを解決する技術やノウハウを持つものづくり企業とのマッチングを図るのが狙いです。この画期的な試みは、2019年6月20日に第1回会合が開催される予定で、異業種からの新規参入を志す企業に大きなビジネスチャンスを提供すると期待されています。
医療現場の潜在的な需要は、医薬品医療機器等法(薬機法)によって規制される高度な医療機器だけにとどまりません。薬機法とは、医薬品や医療機器などの品質、有効性、安全性を確保するために設けられた法律のことで、専門的な知識が求められます。しかし、看護業務の補助や患者さんの生活を支える周辺機器にも、大きなニーズが潜在しているのです。大商は、このような周辺機器の開発は、専門知識を持たない異業種の中小企業でも比較的取り組みやすいテーマが多いと見ており、地域経済活性化の起爆剤になると確信しています。
需要発掘と試作品製作が完了した後も、開発の道のりは続きます。次のステップは、非臨床試験、臨床試験、そして薬事承認といった専門的な手続きが必要となる段階です。これには高度な知識と経験が求められるため、大商は、開発プロセスを一気通貫で支援できるコンサルタントを養成するプログラムを立ち上げます。2019年7月にも専用講座をスタートし、修了者をネットワーク化して企業側の要望に応じて紹介できる体制を整備するとのことです。
研究開発や製造には、当然ながらまとまった資金が必要です。大商は、インターネットを通じて不特定多数の人々から開発資金を募るクラウドファンディング(CF)を有効な手段として注目し、CF運営会社を紹介するサービスを開始しました。CFは、インターネット上で共感を呼ぶアイデアを提示することで、多くの支援者から少額ずつ資金を集める仕組みのことで、中小企業にとって新たな資金調達の選択肢となり得ます。大商は、このノウハウを蓄積した上で、来年度には独自のCF立ち上げも検討するという意欲的な姿勢を見せています。
実際、大商は2003年から医療現場と企業を結びつける活動に取り組み、これまでに約50件もの事業化を成功させた実績があります。例えば、女性用下着のワイヤや留め具を製造していたオーゼットケー(大阪府八尾市)が、その技術を応用して心臓手術の手術部位を広げる機器を開発した事例は、異業種参入の成功例として非常に魅力的です。私は、このような実績と今回の包括的な支援体制の強化によって、健康・医療産業が大阪の地域経済を牽引する強力なエンジンへと成長していくことを強く期待しています。
SNS上では、「看護現場の声が直接聞けるのは画期的」「中小企業にとっては参入のハードルが下がる」「大阪のものづくり技術と医療の融合に期待」といった肯定的な意見が多く見受けられ、この取り組みに対する世間の関心度の高さがうかがえます。大商のこの一連の動きは、事業環境の厳しさが増す中小企業に、新しいビジネスの可能性を紹介し、地域経済に活力を与えるための、まさに希望の光と言えるでしょう。