広島市内でNTTドコモ系の企業と共同で展開されている電動アシスト自転車のレンタルサービス、通称「シェアサイクル」が、現在、驚くほどの勢いで利用を拡大しています。このサービスは、2015年2月に観光客の市内周遊を促進する目的で開始されましたが、その手軽さと利便性から、地元市民の通勤や日常の移動手段として定着し、いまや利用が急増している状況です。広島市は、この好調な波に乗って、自転車の台数や貸出・返却拠点の数を大幅に増やすこと、そして将来的にはサービス提供時間を24時間化することまで検討しており、利便性の向上に向けた前向きな取り組みが続く見通しです。
広島市の中心地である紙屋町(かみやちょう)周辺では、サドルの下にバッテリーを搭載した赤い「ママチャリ」型の電動アシスト自転車に乗り込むビジネスパーソンや若い世代、観光客の姿が目に留まるようになってきています。これが、広島市のシェアサイクル「ぴーすくる」です。開始当初は150台でスタートしましたが、今では350台が市街地を駆け巡っており、「ポート」と呼ばれる貸出・返却拠点は当初の14カ所から、およそ60カ所へと大幅に増加しています。運営はNTTドコモの子会社であるドコモ・バイクシェアが行っており、自転車一台ごとの現在地情報やバッテリー残量を常に把握できるシステムを構築しているため、利用者は安心してサービスを利用できるでしょう。
サービスの名称も、開始当初の「広島市観光レンタサイクル ぴーすくる」から、2018年5月には「広島市シェアサイクル ぴーすくる」へと変更されました。これは、観光利用から市民の日常的な利用へと焦点を広げるという明確な意図があったためです。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、公共施設といった市民の生活に密着した場所の敷地内に次々とポートが設置され、「ぴーすくる」は市民にとってより身近な存在へと進化しました。また、この取り組みは、広島市が長年抱えていた路上の放置自転車を減らす対策としても大きな効果を発揮しており、運営事務所の責任者からは「ポート周辺の放置自転車が著しく減少した」という声も聞かれており、都市環境の改善にも貢献しているといえるでしょう。
「ぴーすくる」の利用者は着実に増加しており、2018年度の利用回数は8万3,500回にも上り、前年度と比べても24パーセントの大幅な伸びを記録しました。利用予約や自転車の鍵(ロック)の解除は、スマートフォン一つで手軽に行えます。料金システムも非常にシンプルで、一回限りの利用会員の場合、最初の1時間が162円(税込)、それ以降は30分ごとに108円が加算される仕組みです。また、1,080円を支払えば終日利用でき、何度でも自転車を乗り換えられる「一日会員」というプランも用意されています。フル充電であればおよそ40キロメートルの走行が可能で、返却はどのポートでも受け付けているため、通勤や営業活動など、短・中距離の移動手段としては非常に魅力的であると考えられます。
特に注目すべきは、2019年4月から始まった他の主要都市のシェアサイクルサービスとの「相互乗り入れ」です。これにより、例えばドコモ・バイクシェアが運営する東京都内のサービスに登録している会員も、広島で「ぴーすくる」をそのまま利用できるようになりました。この相互乗り入れは、広島へ出張で訪れるビジネスパーソンの利便性を格段に高め、さらなる利用者の増加に繋がる追い風となるでしょう。また、2018年夏の西日本豪雨災害の際には、このシェアサイクルが生活再建の大きな力となったことも特筆すべき点です。道路が寸断され、車での通行が難しくなった被災地では、避難所を拠点として「ぴーすくる」が無償で貸し出されました。その機動力を活かし、自宅と避難所の行き来や生活物資の調達に大いに役立ち、災害時の緊急出動という側面でもその価値を証明しました。
💻 SNSでの反響とサービスの将来性
「ぴーすくる」の利用拡大を受けて、SNS上でも様々な好意的な意見が寄せられています。「観光地を巡るのに便利すぎる!」「坂道が多い広島でも電動アシストだから楽ちん」「一日会員が安くて助かる、どこでも返せるのが神」といった声が目立ち、特に電動アシスト機能と、どこでも借りてどこでも返せる「マルチステーション方式」が利用者から高い評価を得ています。この「マルチステーション方式」は、指定された複数のポートであればどこでも貸し出し・返却が可能なシステムを指しており、利便性の核となっています。一方で、「ポートがもっと増えればさらに使いやすい」「夜間も使えるようにしてほしい」という、さらなる利便性向上を期待する声も多く見られます。広島市と運営事業者が、今後のポート設置台数の大幅な拡大や24時間サービス化を検討しているのは、まさにこうした市民の要望に応えるものでしょう。今後も「ぴーすくる」が広島市の「移動革命」の中心となり、環境に優しく、市民の生活の質を高める存在として、その快走を続けることを期待しています。