美しい自然と豊富な温泉、そしてレジャー施設が点在する那須エリアは、年間およそ500万人もの観光客が訪れる人気の観光地です。しかし、栃木県の那須町と那須塩原市にまたがる広大なこのエリアでは、二次交通の課題が長らく懸念されていました。東京方面からの玄関口となるJR那須塩原駅から、那須高原の中心部までは車でおよそ30分を要しますが、移動手段が限られているのが現状です。タクシーを利用すると費用が高く、一方の路線バスは運行本数が少ないため、観光客の皆さまがスムーズに移動しにくいという問題があったのです。
こうした状況を打開し、観光サービスのさらなる充実を目指して、那須高原次世代交通協議会が立ち上がりました。そしてこの度、配車サービスを提供するAzit(アジット)社とタッグを組み、観光客向けの画期的な送迎サービスの実証実験を開始する運びとなりました。2019年6月14日には、実証実験に向けた合意書が無事に調印され、この取り組みがいよいよ本格的に動き出します。観光関係者や地元住民の間でも、大きな期待が寄せられていると言えるでしょう。
この実証実験で採用されるのは、Azit社が提供する**「CREW(クルー)」というライドシェアサービスです。ライドシェアとは、一般の登録者が自家用車を利用して、同じ方向へ向かう乗客を有償で送迎する仕組みを指します。日本ではタクシー事業とは区別されており、規制がある中で、この「CREW」は「自家用車活用有償旅客運送」という形で運営されています。利用者は、アプリを通じて自家用車の運転者とマッチングし、ガソリン代などの実費とAzit社への手数料のほか、上限1万円までの任意による謝礼を支払うシステムです。
実証実験は、2019年7月から10月までの3カ月間にわたって実施される予定です。運行時間は午前7時から午後7時までとし、主な出発点としてJR那須塩原駅と道の駅「那須高原友愛の森」の2カ所が設定されています。利用を希望する観光客は、これらの地点から周辺の旅館やホテル、レジャー施設など、希望する目的地まで送り届けてもらうことができるのです。この時期は那須エリアの繁忙期と重なるため、サービスがどの程度、観光客の利便性向上に貢献できるかが注視されています。
今回の取り組みの大きな特徴は、運転者を那須エリアで働く観光関係者を中心に募集する点にあります。那須エリアでは自家用車で通勤する観光関係者が多いため、通勤時間などの空き時間を利用して観光客の送迎を行うことで、地域全体の移動インフラを効果的に補完する狙いです。協議会の片岡孝夫会長は会見で、「スマートフォンに慣れた若い世代がどのような反応を示すのか、3カ月後の結果が非常に楽しみです」と語り、特にデジタルネイティブな若年層の利用に期待を寄せている様子がうかがえます。
那須エリアの観光組合などは、これまでも交通アクセスの向上に尽力してきましたが、近年の若者の車離れや高齢者の運転免許返納の増加といった社会的な背景から、新たな対策が急務となっていました。私見ですが、この「CREW」を活用した実証実験は、観光客の移動の自由度を高めるだけでなく、地元の観光関係者の協力を得ることで、地域ぐるみで観光客を「おもてなし」する新しいモデルケースを提示していると言えるでしょう。この試みは、地方観光地の二次交通のあり方に一石を投じる、非常に意義深いものになると感じています。
SNS上では、このニュースに対して「那須はバスが不便だったから、これは朗報だ」「夏の旅行でぜひ利用してみたい」「自家用車の送迎サービスは那須に合っているかもしれない」といった、期待や歓迎のコメントが多く寄せられています。特に移動手段に困っていた層からは、具体的な解決策への喜びの声が目立っており、この新しい二次交通**サービスへの関心の高さがうかがえます。この実証実験が成功を収めれば、那須エリアの観光体験は格段に快適で魅力的なものになるに違いありません。