厚生労働省は、2020年度にも全国の地方自治体で、妊娠中の方や子育て世帯の母子の健康情報を電子的に管理できるシステムの導入をサポートする方針を固めました。これは、これまで紙で管理されてきた母子健康手帳を補完する画期的な取り組みとなる見込みです。この電子母子手帳システムが実現すれば、もし紙の手帳を失くしてしまっても、お母さん自身が健診情報を継続して確認できる安心感が生まれるでしょう。
現在の母子の健康情報は、自治体から交付される紙の母子健康手帳によって一元管理されています。しかし、この手帳を紛失してしまうと、お子さんの予防接種歴や重要な健診記録などの情報が確認できなくなってしまうという大きな懸念がありました。特に、2011年3月11日の東日本大震災の際には、多くの方が手帳を見つけられず、医療機関での診察時などに本人や医師が困る事態が相次いだという経緯があるのです。こうした背景から、災害時などにも迅速に情報へアクセスできる体制の必要性が高まっています。
このような課題を解決するため、厚生労働省は母子の予防接種の履歴、血液型といった必須の健康情報を電子的に管理するためのシステム開発を進めています。このシステムは、2019年夏頃から自治体への紹介が始まり、2020年夏頃を目途に本格的な提供がスタートする予定とのこと。さらに、自治体がこのシステムの導入にかかる費用については、その3分の2を上限に国が補助するという手厚いサポート体制が敷かれています。これは、全国的な普及を後押しする強いメッセージだと捉えることができます。
この新しいシステムでは、医療機関や学校などが、必要な情報をシステム上に入力する仕組みになっています。そして、お母さんとお子さんそれぞれの情報は、ご本人がパソコンやスマートフォン(スマホ)から、マイナンバーの個人専用サイトであるマイナポータルを通じて閲覧できるようになります。マイナポータルとは、行政機関が保有するご自身の情報を確認したり、行政手続きのオンライン申請などができる国のウェブサービスのことです。この連携によって、妊婦さんの状態やお子さんの発育状況を手書きで記録する紙の母子手帳を効果的に補完し、万一の緊急時でも必要な情報を手帳なしで速やかに確認できるようになることが期待されています。
実は、すでに民間企業が開発した電子母子手帳アプリなどを活用している自治体も存在します。しかし、これらは健診後に保護者の方が自分で情報を手入力する必要があったり、都度パスワードを入力する手間がかかることが多く、紙の母子手帳との併用が主流になっているのが現状でした。今回、国が主導して全国共通のシステムを整備することで、情報入力の手間が軽減され、利用者の利便性が大幅に向上するでしょう。また、母子健康手帳は、一般的にお子さんが6歳になるまでの記入欄しか設けられていないものが多く、小学校入学後の健診は学校が担うことになります。
この全国共通のシステムを利用すれば、仮に引っ越しや転校があった場合でも、一人のお子さんのデータを途切れることなく継続して記録し続けられるようになるという大きなメリットがあります。筆者としては、この電子化の推進は、母子保健情報の管理において、災害対策と利便性向上を両立させる「待望の一手」だと感じています。特に、情報の連続性を確保できる点は、将来的な医療や教育の連携においても極めて重要だと考えられます。
このニュースに対するSNSの反響も非常に大きく、「紛失の心配がなくなるのは本当に助かる」「全国でデータがつながるなら、転勤族には神システム!」といった、歓迎する声が多数見受けられます。一方で、「マイナポータルとの連携が複雑ではないか」「医療機関や学校側の入力の手間が増えないか」といった、導入や運用に関する懸念の声も一部で挙がっています。厚生労働省には、これらの国民の声を踏まえ、誰もが簡単に使える、セキュアでシームレスなシステム設計を期待したいところです。