2019年6月16日、世界保健機関(WHO)が、オンラインゲームなどの過剰なプレイによって日常生活に支障をきたす症状を「ゲーム障害」として正式に依存症として認定したニュースは、国内外で大きな波紋を呼んでいます。長年、身近な娯楽として親しまれてきたゲームですが、その弊害に対する懸念は世界的に高まってきています。ゲーム大国として知られる日本では、国や医療機関、そしてゲーム産業を支える企業が連携し、この新たな課題への対策を急ぐ必要があるでしょう。
WHOが病気やけがの国際的な分類リストである「国際疾病分類(ICD)」にゲーム障害を追加したことは、その深刻さを物語っています。具体的な判断基準としては、「ゲームの時間や頻度を制御できない」「他の関心事や日々の活動よりもゲームを優先する」「問題が起きているにもかかわらずゲームを続ける」といった3つの症状が示されており、これらの状態が12カ月以上継続した場合に依存症の疑いがあるとされています。この医学的な定義付けは、適切な治療と予防への大きな一歩となるに違いありません。
ゲーム障害が注目される背景には、愛好者の爆発的な増加があります。スマートフォンの普及はゲームを誰もが手軽に楽しめるものとし、現在では世界で25億人以上がゲームを楽しんでいると推測されています。そのうちの2〜3%がゲーム障害の可能性があるという指摘もあり、決して無視できない問題となっています。このニュースが報じられた際、SNS上では「ついに正式に認定されたか」「これは他人事じゃない」「治療法の確立が急務だ」といった、懸念と関心の声が多く見受けられました。
日本の現状に目を向けると、ある調査では約93万人の中高生にインターネット依存の疑いがあるとの結果が出ていますが、その中でどの程度の割合がゲームに関連しているのか、正確な数字はまだ把握されていません。対策の出発点として、まずはこの実態を正確に把握し、その規模と特徴を明らかにすることが極めて重要だと考えられます。疫学調査や臨床研究を強化し、実態に即した対策を講じるべきでしょう。
専門家による治療体制の確立と企業の責任
ゲーム障害の治療には、患者をゲームから一時的に遠ざけるための丁寧なカウンセリングや、集団生活を送る合宿形式のプログラムなどを通じて、時間をかけて日常生活への回帰を促す手法が有効だとされています。しかしながら、現時点では、こうした治療に十分に対応できる専門的な医療機関や人材はまだ不足しているのが実情です。精神科や小児科といった関連する診療科が密接に連携を深め、国は実態に合った治療体制の整備を強力に後押しする必要があるでしょう。
また、ゲーム事業を担う企業の協力も、この問題解決には不可欠です。日本は、中国や米国に次ぐ世界有数のゲーム市場であり、家庭用ゲーム機やソフトウェアを開発する有力メーカーを数多く擁しています。業界全体をリードする日本企業が、実態の把握に向けたデータ提供や、未成年者が過剰なプレイに陥ることを防ぐための保護措置の導入を主導することで、対策がより円滑に進むと私は確信しています。日本が率先して健全なゲーム環境のモデルを示すべきではないでしょうか。
ゲームは単なる娯楽という側面に留まらず、ゲーム開発で培われた大量のデータを処理する技術や、利用者を夢中にさせるゲーミフィケーションの手法が、今や電子商取引、教育、医療、そしてシミュレーションなど、実に様々な領域に応用可能であることが分かっています。その活用事例は着実に増え、産業の競争力を高めるための重要な要素となりつつあります。だからこそ、ゲームを安心して楽しめる環境を整備し、そのポジティブな価値を最大限に引き出すことが、日本社会の未来にとっても欠かせない取り組みであると言えるでしょう。