日本酒の世界に新たな歴史を刻む、とてつもない一本が2019年6月16日に登場いたしました。それは、プレミアム日本酒ブランド「SAKE100(サケハンドレッド)」を運営するクリア社が、100本限定で発売した24年熟成のビンテージ日本酒「現外-gengai-」です。500ミリリットルで価格は1本15万円(税込み、送料別)という、まさに垂涎の逸品として大きな話題を呼んでいます。シリアルナンバー付きで届けられるこのお酒は、単なる高級酒という枠を超えた、特別な物語を宿しているのです。
この「現外」を製造したのは、兵庫県の老舗蔵元である沢の鶴社でございます。その物語の始まりは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災に遡ります。震災により蔵の醸造設備は倒壊してしまいましたが、奇跡的に残されたタンクの中に、まさに酒造りの土台となる「酒母(しゅぼ)」が存在していました。酒母とは、酵母を純粋に大量に培養するために造るもので、いわば日本酒の品質を左右する非常に重要な工程です。設備被災のため、本来の次の工程へ進むことができず、その酒母はそのままの状態で搾られることになりました。当初は甘みと酸味のバランスが非常に不均衡だったと言いますが、そこから24年という歳月をかけて熟成が施されたのです。
四半世紀近い長い眠りから覚めた日本酒は、時間をかけて驚くべき変化を遂げていました。不安定だった甘みや酸味が、熟成という名の魔法によって絶妙なバランスへと昇華したのです。この出来事によって「現外」は、二度と再現することができない、唯一無二のビンテージ日本酒、すなわち特定年に製造され、長期熟成を経た価値ある日本酒として生まれ変わったといえるでしょう。試飲した方々からは、「奇跡のお酒」「味わいが想像を超えている」といった驚きの声がSNSなどで多数寄せられ、その価格に見合う価値があるとの反響が広がっています。
熟成を経て、その外観は美しい光沢を帯びたアンバー色、つまり琥珀色を呈しています。香りをかぐと、カラメルのような濃厚な甘い香りや、ビターチョコレートのようなほろ苦さを伴う、複雑で豊かなアロマが鼻腔をくすぐります。そして口に含むと、甘み、酸味、苦み、そしてうまみが幾層にも折り重なり、複雑ながらも調和の取れた奥深い味わいを楽しむことができるでしょう。まさに時を超えて完成したアートのようなこのお酒は、単なる飲み物ではなく、震災復興のストーリーと時間の価値を味わうことができる特別な存在であると確信しています。
私は、この「現外」のような長期熟成酒は、日本酒の新たな可能性を広げる鍵だと感じています。日本酒といえば、フレッシュな香りとキレのある味わいが主流ですが、ワインやウイスキーのように長期熟成によって生まれる、複雑で奥深い魅力もまた、世界に誇れる価値となるはずです。24年という歳月が生み出したこの類まれな味わいと、逆境を乗り越えたストーリーこそが、「現外」の真の価値であり、日本酒ファンはもちろん、お酒の嗜好品コレクターにとっても見逃せない一本となるでしょう。