2019年6月16日、男子フェンシングのエペ種目において、日本人選手同士が頂点を争うという、史上初の快挙が達成されました。この注目すべき舞台で、山田優選手が見事な逆転劇を演出し、初めての優勝を手にしたのです。エペという競技は、全身が有効面となるため、特に緻密な駆け引きが要求されるのですが、その緊迫感が最高潮に達する瞬間が、この決勝戦にはありました。
決勝の対戦相手は、同じく日本代表として活躍する宇山賢選手でした。試合は序盤、宇山選手の、その長いリーチを活かした独特の距離感、つまり「間合い(ま-あい)」に山田選手が苦しめられる展開となり、一時、最大4点もの差をつけられてしまう苦しい状況でした。しかし、山田選手は決して諦めず、その粘り強さを見せてまいります。残り時間1分を切ったところでついに同点に追いつき、ここから彼の動きに一層の鋭さが加わったのです。
同点に追いついた山田選手は、剣を巧みに操り、相手の攻撃に対して素早く反応していきます。そして、見事に最後の一撃、決定打を突き込んだ瞬間、彼はマスクを脱ぎ捨てて、感情を爆発させました。この劇的な勝利の要因として、山田選手は「最後の3セット目に勝負を仕掛ける展開に持っていくことができた」と語っており、事前に練られた戦略が見事に功を奏した形と言えるでしょう。終盤に見せた集中力と、勝負をかける度胸に、筆者自身も大変感銘を受けました。
今回の決勝戦は、ワールドカップで団体として初優勝を飾るなど、目覚ましい躍進を遂げている日本エペ陣の、選手層の厚さをまざまざと見せつける結果となりました。惜しくも、前回大会王者の見延和靖選手は、大会前の体調不良の影響から2回戦で敗退してしまったものの、チームメート同士が繰り広げた頂上決戦は、日本のフェンシング界が新たな高みへと到達している証左ではないでしょうか。この熱い戦いは、多くのファンを魅了し、SNS上でも「エペってこんなに面白いの!?」「山田選手の粘りが凄すぎる」といった、興奮のコメントが多数寄せられていました。