日本国内で超低金利の状態が長く続く中、日本の銀行が活路を求めて海を越えた積極的な投資を続けています。日本銀行が2019年9月20日に発表した国際決済銀行(BIS)の統計によりますと、2019年6月末時点における邦銀の国際与信残高は、4兆2970億ドル(日本円で約460兆円)という驚異的な規模に達しました。これは過去最高を記録した2019年3月末からは微減したものの、統計史上2番目の高水準を維持しており、金融機関の海外シフトが鮮明になっています。
ここで注目すべき「国際与信」という言葉は、少し難しく感じるかもしれませんが、要するに銀行が海外の相手に対してお金を貸したり、海外の国債や社債、株式を購入したりすることを指します。国内では貸し出した際の金利と預金金利の差である「利ざや」が縮小し、利益を上げにくい構造的な課題があります。そのため、銀行はリスクを取りながらも、より高い収益が見込める海外市場での貸し出しや証券投資に、文字通り命運を懸けて資金を振り向けている状況なのです。
2019年6月末の残高が直前の3月末に比べて875億ドルほど減少した背景には、海外証券の時価評価が下がったことが影響していると見られます。しかし、投資の意欲自体が減退したわけではありません。SNS上では「地元の銀行が海外で勝負しているのは頼もしい」といった期待の声がある一方で、「世界経済が不安定になった際のリスクは大丈夫か」と、急激な海外依存を不安視する意見も散見され、専門家だけでなく一般市民の関心も高まっていることが伺えます。
投資先の内訳を詳細に見ていくと、スペインやイタリアといった南欧諸国への与信が増加している点が非常に興味深い動きです。第一生命経済研究所の藤代宏一氏は、ドイツやフランスなどの欧州主要国で金利が低下し続ける中、相対的に高い金利が残っている周辺国の国債を「物色」する動きが広がっていると指摘しています。利回りを追求する銀行の姿勢は、まるで砂漠でオアシスを探し求める旅人のように切実であり、貪欲であるとも言えるでしょう。
私自身の見解としては、この邦銀の「海外志向」は、生き残りをかけた必然的な選択であると考えています。しかし、高利回りを求めて周辺国への投資を加速させることは、同時に地政学的なリスクや市場の急変に身をさらすことにも繋がりかねません。2019年6月末時点での対外債権から債務を差し引いた純残高は2兆3641億ドルと非常に健全な数字を保っていますが、今後は収益性と安全性のバランスをどう舵取りしていくかが、日本の金融業界の大きな焦点となるはずです。