サバ缶ブーム到来!食卓の主役へ躍り出た「青魚」の魅力と高級ブランド化への期待

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日本人の食文化において、背中が美しく青く輝く「青魚」や「光り物」は、切っても切れない特別な存在です。アジやサバ、イワシといった魚たちは、お寿司屋さんでも不動の人気を誇っています。2019年09月23日現在、カウンターでコハダやサヨリ、キスといった光り物ばかりを粋に注文する熱心なファンを見かけることも珍しくありません。味は一級品でありながら、お財布に優しい価格帯で楽しめる点が、古くから庶民に愛されてきた最大の理由と言えるでしょう。

しかし、かつてはこれらの魚が「下魚(げぎょ)」、つまり格下の安い魚として冷遇されていた時代もありました。こうした状況を深く憂いた作家の高橋治氏は、かつて「青魚下魚安魚讃歌」という著書を通じ、彼らの地位向上を熱烈に訴えかけました。九十九里浜のイワシをこよなく愛した氏の情熱は凄まじく、青魚の価値を世間に認めさせようと尽力されていたのです。四半世紀ほど前の当時、これほどまでの「青魚愛」を持ってその復権を叫んだ先駆者がいた事実は驚きです。

そんな不遇の時代を経て、近年では信じられないほどの「サバ・イワシブーム」が巻き起こっています。SNS上でも「サバ缶レシピ」が頻繁にトレンド入りし、手軽で栄養満点な食材として若者からお年寄りまで幅広く支持されている様子が伺えます。驚くべきことに、2018年のサバ缶(水煮など)の生産量は約5万トンに達し、前年比で27%もの急成長を遂げました。長年缶詰界のトップに君臨していたツナ缶を追い抜くという、歴史的な大逆転劇が起きているのです。

最近の店頭を賑わせているのは、かつての地味なイメージを覆す色鮮やかで洗練されたパッケージの缶詰たちです。中身のこだわりも相当なもので、もはや「非常食」の枠を超えたグルメ食材へと進化を遂げました。個人的な見解としても、単なる安価な保存食ではなく、一つの完成された料理としてサバ缶が認知されたことは、日本の食生活をより豊かにする素晴らしい変化だと感じています。創意工夫を凝らしたメーカーの努力が、ようやく実を結んだ結果なのでしょう。

ブランド化する青魚と、サンマの不漁がもたらす影

さらに注目すべきは、「金華さば」や「土佐の清水さば」といった産地ブランドサバの台頭です。これらは特定の海域で獲れる脂の乗った極上品として扱われ、かつての「安魚」というレッテルを完全に払拭しました。もし高橋治氏が今の光景を目にしたら、その出世ぶりに目を丸くされるに違いありません。しかし、高級化が進む一方で、本来の魅力であった「手軽さ」が失われつつある点や、資源の乱獲による生態系への影響については、私たちは慎重に考える必要があります。

実は2019年の秋、深刻な問題が食卓を襲っています。秋の味覚の代名詞であるサンマが、海から姿を消してしまったのです。お寿司屋さんで光り物のフルコースを楽しもうとしても、主役の一角が欠けている寂しさは拭えません。安くて美味しい魚が当たり前に食べられる幸せは、決して永遠ではないと思い知らされます。美味しい青魚を未来へ繋ぐためにも、私たちはブームに浮かれるだけでなく、海の資源を守る視点を持つべき時が来ているのかもしれません。

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