米中貿易摩擦の深層を丸紅・柿木社長が喝破!世界経済の激変期に商社が見据える「真の耐久力」とは?

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米国と中国による貿易摩擦は、互いに報復関税を掛け合う泥沼の状態が続いており、解決への道筋は依然として不透明なままです。こうした緊迫した状況下で、世界経済の羅針盤とも言える総合商社、丸紅の柿木真澄社長が、今後の展望を鋭く分析しました。柿木社長は、2019年9月1日に発動された対中関税第4弾について、消費財が対象となったことで米国企業自身にも大きな痛みが及ぶと指摘されています。

自由貿易の恩恵により、現代の生産体制は国を越えた「国際分業」が複雑に組み上がっています。これは各工程を最も効率的な国が担う「最適化」の結果であり、一朝一夕に切り離せるものではありません。そこに関税という障壁を設ければ、生産効率の低下は避けられず、結果として世界経済全体に悪影響を及ぼすのは間違いないでしょう。SNS上でも「サプライチェーンの崩壊が物価上昇を招く」と懸念する声が多く上がっています。

中国の成長持続と米国が抱える「再選への焦り」

中国経済の減速を心配する声もありますが、柿木社長は現地を視察した実感を踏まえ、都市部では摩擦の影響は限定的だと述べています。中国政府は米国に対抗するための政策手段、いわゆる「カード」をまだ全て出し切ってはいません。そのため、2019年度の成長目標である年率6.0〜6.5%という水準は維持され、堅調な推移が当面は続くとの見通しです。不動産市場も投機目的から実需へと質が変化しており、丸紅は投資の手を緩めない姿勢です。

むしろ柿木社長が危惧しているのは、一見強気に見える米国の「耐久力」です。トランプ大統領は2020年の大統領選挙を控え、経済の実績を誇示したいがために、利下げなどの切り札を不必要に連発している節が見受けられます。カードを使い果たせば、いざという時の抵抗力が失われかねません。実際に、大統領の支持基盤である中西部の製造業地帯「ラストベルト」でも、現在の強引な手法に疑問を抱く層が現れ始めています。

地政学リスクの変容と商社が挑む危機管理の新局面

欧州に目を向けると、英国のEU離脱(ブレグジット)という難題が控えています。柿木社長は、アイルランド国境問題などの難所はあるものの、最終的には「合意なき離脱」という最悪の事態を避けるための知恵が出されると予測しています。丸紅は規制への対応として化学品部門の一部をドイツへ移転させますが、欧州全体の統括機能は引き続きロンドンに置く方針を貫き、ビジネスの継続性を重視する構えです。

一方で、2019年9月14日に発生したサウジアラビアの石油施設へのドローン攻撃は、世界に新たな衝撃を与えました。しかし、かつての石油ショック時とは異なり、米国のシェールオイル増産による供給不安の解消が、市場に一定の安心感をもたらしています。柿木社長は、ドローンという新たな脅威に対し、自社が運営に携わるプラントの安全確保と、非常時における危機管理システムの再整備を即座に指示し、変化するリスクへの即応力を示しています。

激動する世界情勢を前に、私は柿木社長の「現場主義」に基づく冷静な判断に深く共感します。マクロな経済指標だけでなく、現地の空気感や政治的な背景を読み解く力こそが、不確実な時代を生き抜く商社の真骨頂と言えるでしょう。一時の感情的な対立に惑わされず、長期的な視点で投資とリスク管理を並行させる姿勢は、今の日本企業に最も求められている哲学ではないでしょうか。

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