MaaSが変える地域の未来!2019年、スタートアップが牽引する「移動革命」の最前線

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2019年9月23日現在、日本の移動のあり方が劇的な変化を迎えています。今、大きな注目を集めているのが「MaaS(マース)」という次世代移動サービスです。これは「Mobility as a Service」の略称で、バスや電車、タクシーといった個別の交通手段を一つのサービスとして統合し、スマートフォンのアプリ一つで予約から決済までを完結させる画期的な仕組みを指します。この分野で今、大企業を凌ぐ勢いを見せているのが、機動力と最新技術を武器にするスタートアップ企業たちです。

SNS上でも「旅先での移動がスムーズになるのは嬉しい」「過疎地の足不足が解消されそう」といった期待の声が数多く寄せられています。特に観光地や地方自治体からは、深刻な運転手不足や交通空白地帯の解消を目的としたラブコールが相次いでいます。単なる移動手段の提供に留まらず、地域が抱える社会課題をテクノロジーで解決しようとする動きは、2019年の今、まさに日本全国で加速しているのです。

瀬戸内から始まる海上MaaSの衝撃と観光DX

具体的な事例として注目したいのが、2019年の春から開催されている「瀬戸内国際芸術祭」での取り組みです。東京のスタートアップ、スキームヴァージ社が提供するアプリは、利用者の好みのアート作品から最適な旅程を自動生成するという、極めて直感的な体験を実現しました。特筆すべきは、フェリーや高速艇だけでなく、民間のクルーザーを活用した「海上タクシー」の予約まで可能にした点でしょう。利用者はすでに約1,000人に達しており、海を跨ぐ移動の壁をテクノロジーが見事に打ち破っています。

このプロジェクトは国土交通省の支援を受ける全国19のモデル事業の一つへと進化し、ANAホールディングスやJR四国といった大手資本も参画を決めました。同社が素晴らしいのは、単にシステムを売るだけでなく、メンバー自らが瀬戸内に移住して現場の交通事業者との調整役を買って出ている点です。デジタル技術と泥臭い人間関係の構築を両立させる姿勢こそが、複雑な利権が絡む交通業界に風穴を開ける鍵になると私は確信しています。

AI配車が救う地方の足、6兆円市場への期待感

一方、陸の移動では「オンデマンド型」の乗り合いサービスが脚光を浴びています。これは決まった時刻表に従うのではなく、利用者のリクエストに応じてAIがリアルタイムで最適なルートを算出する仕組みです。公立はこだて未来大学発の「未来シェア」は、2019年2月から6月にかけて静岡県で行われた実験において、タクシーを活用した効率的な配車システムを提供しました。これは世界的な配車大手ウーバーにも匹敵する高度な技術であり、地方の公共交通を支える「助け舟」として期待が高まります。

矢野経済研究所の試算によれば、2030年には国内のMaaS市場は6兆3,600億円規模にまで膨れ上がると予測されています。2018年時点では1,000億円に満たなかった市場が、わずか10数年で巨大産業へと変貌しようとしているのです。フィリピンで実績を積んだクレメンテック社が2019年8月に北海道厚沢部町で実施したEV(電気自動車)による公共交通実験のように、海外での成功事例を日本国内へ逆輸入する動きも活発化しており、新興勢力の存在感は増すばかりです。

大手企業が手を出せなかったニッチな需要や、複雑な地域連携をスピーディーにこなすスタートアップの活躍は、日本の閉塞感を打破する希望の光に映ります。ラストワンマイルと呼ばれる、駅から目的地までのわずかな距離を補う電動キックボードのシェアリングなども含め、これからは「所有から利用へ」という価値観の変化が加速するでしょう。利便性だけでなく、環境負荷の低減や地域経済の活性化を同時に実現するMaaSの普及を、私たちは官民一体となって後押ししていくべきではないでしょうか。

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