2019年09月23日、日本の教育現場とビジネスの最前線に横たわる「深刻なギャップ」について、立教大学の中原淳教授が警鐘を鳴らしました。かつては大学を卒業して企業に入れば、手厚い研修や現場教育(OJT)によって仕事に必要な能力を身につけることができました。しかし現在、職業生活で求められるスキルの高度化により、大学教育との間に埋めがたい「段差」が生じているのです。
この現状に対し、SNS上では「新卒に即戦力を求めすぎではないか」という声がある一方で、「大学の講義が実社会とかけ離れている」といった現役学生や若手社員からの切実な意見も目立ちます。中原教授は、民間企業の人材開発を研究してきた視点から、この接続関係の改善が急務であると説いています。今の時代、英語力やICT(情報通信技術)を駆使した課題解決力が不可欠となっているからです。
議論から実践へ!立教大学が挑む「正解のない」教育改革
ICTとは、単なる情報技術を指すITに「コミュニケーション」の要素を加えた言葉で、技術を使って人とつながり、社会を豊かにすることを意味します。中原教授は、教育機関と企業が「どちらが教育を担うべきか」という責任のなすりつけ合いをしている時間はもうないと断言します。ASEAN諸国の急成長が続く中、日本が国際競争力を維持するためには、悠長な議論よりも「実践」が求められています。
そこで注目されているのが、立教大学経営学部での先進的な取り組みです。1年生から企業と連携し、プロでも正解が分からないような経営課題にチームで挑みます。3ヶ月かけてプレゼンを完成させる過程で、学生たちは「セルフアウェアネス(自己認識)」、つまり自分の強みや弱みを客観的に理解する力を養います。これは、周囲からのフィードバックを通じて自らの行動を補正する重要なプロセスです。
さらに2020年度からは、大学院に「リーダーシップ開発」コースが新設される予定です。2019年7月の説明会には定員10名に対し600名以上が殺到しており、社会の関心の高さが伺えます。私自身の意見としても、文系学生が「大学は遊ぶ場所」と揶揄された時代は完全に終わったと感じます。これからは大学と企業が手を取り合い、変化の激しい時代を生き抜く「高度職業人」を共に育てる姿勢こそが、日本の未来を創るはずです。