2019年09月25日現在、建国70周年という大きな節目を目前に控えた中国が、ハイテク分野でかつてない試練に直面しています。湖北省武漢市の広大な土地にそびえ立つ、紫色の外観が目を引く巨大な工場をご存知でしょうか。ここは習近平国家主席の母校である清華大学傘下の半導体大手、紫光集団が手がける長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ)の拠点であり、中国の技術的自立を象徴する最前線と言えるでしょう。
この巨大工場では、2019年09月02日に程衛華共同最高技術責任者が、中国企業として初となる「3次元NAND型フラッシュメモリー」の量産化を力強く宣言しました。この製品はデータを保存するための半導体で、高層ビルのように記憶素子を積み上げることで、小さな面積でも膨大な情報を蓄積できる最先端技術です。スマートフォンやサーバーに欠かせないこの部品を自社で生み出すことは、中国にとって長年の悲願だったに違いありません。
水面下で進む「製造2025」の隠蔽とファーウェイの切実な供給網
異例のスピードで量産体制の構築を急ぐ背景には、米中貿易摩擦の直撃を受ける通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)からの強い要請があるようです。工場関係者の間では、制裁によって海外からの供給が断たれるリスクを回避するため、一刻も早く「国産品」を確保したいという切迫した空気が漂っています。技術の内製化を急ぐその姿からは、国家の威信をかけた巨大プロジェクトの重圧がひしひしと伝わってくるでしょう。
一方で、中国政府がかつて掲げた産業政策「中国製造2025」という言葉は、今や公の場では口にすることが憚られる「禁句」となりました。これは2025年までに製造強国を目指す壮大な計画ですが、アメリカからの強い警戒を招いたため、現在は表現を和らげつつ水面下で戦略を継続しています。SNS上では「もはや隠しきれない野心だ」という冷ややかな声がある一方で、「自国技術を守るのは当然」といった熱い支持も入り混じっています。
編集部としての視点を述べれば、中国が歩むこの強引とも取れる国産化の道は、短期的には混乱を招くものの、長期的には世界のサプライチェーンを根本から変える可能性を秘めています。しかし、自由な国際競争を度外視した国家主導のやり方は、他国との摩擦をより深める結果になるかもしれません。2019年の今、私たちはまさに技術の覇権が塗り替えられる歴史の転換点に立ち会っているのだと確信しています。