2019年09月25日の東京商品取引所において、金先物相場が力強い動きを見せています。前週末と比較して1グラムあたり36円も値を上げ、清算値は5246円に達しました。このように価格が上昇し続けている背景には、世界経済の先行きに対する不安が色濃く反映されていると言えるでしょう。
投資家の間で金が買われる最大の要因となったのは、欧州における景況感の著しい悪化です。特に注目すべきは、イギリスの調査会社であるIHSマークイットが2019年09月23日に発表した、9月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)の結果です。この指数は景気の「体感温度」を示す指標ですが、なんと6年3カ月ぶりの低水準を記録しました。
ここで言う「PMI」とは、企業の購買担当者にアンケートを行い、景気の現状を数値化した非常に重要な経済指標のひとつです。数値が50を上回れば景気拡大、下回れば後退を意味しますが、今回の落ち込みは市場に大きな衝撃を与えました。とりわけ中国経済の影響を受けやすいドイツの不調が目立ち、世界的な景気減速への警戒感が一気に強まったのです。
さらに、2019年10月前半に予定されている米中閣僚級の通商交渉についても、不透明な情勢が続いています。ドナルド・トランプ米大統領は前週末に「完全合意」を目指す強気な姿勢を示しましたが、これがかえって協議の長期化を予感させる結果となりました。対立が泥沼化するとの懸念から、リスクを避ける動きが加速している状況です。
SNS上では「地政学リスクが高まるとやっぱり金が強い」「現物資産としての安心感が違う」といった声が多く聞かれます。不確実な時代において、実体を持つ資産への回帰は自然な流れかもしれません。私自身の見解としても、主要国の経済指標が軒並み弱含んでいる現状では、消去法的に金が選ばれる展開は当面続くのではないかと考えています。
いわゆる「有事の金」という言葉通り、世界情勢が混迷を極める中で、金は投資家にとって最後の砦のような役割を果たしています。景気後退のサインが点灯し、米中関係の出口が見えない今、市場の視線はこれまで以上に金の価格動向に注がれることになるはずです。今後も国際情勢から目が離せない日々が続くでしょう。