日本の道路を支えてきた中古車たちの価値が、今まさに大きな転換期を迎えています。日本中古自動車販売協会連合会(JU中販連)が発表したデータによると、2019年08月の業者向けオークションにおける平均落札価格は、前年同月と比較して4.3%低い27万円となりました。この価格の下落傾向は、なんと9カ月連続という異例の事態に陥っています。
業界最大手のユー・エス・エス(USS)が公表した2019年08月の成約単価も、1台あたり70万8000円と前年比で2.4%減少しました。こうした市場の冷え込みに対し、SNS上では「愛車の査定額が下がるのではないか」といった不安の声や、「海外需要の動向がこれほど国内価格に直結するとは驚きだ」という驚きのコメントが相次いでいます。
今回の価格下落を招いた最大の要因は、スリランカやパキスタンといった主要な輸出先諸国による、厳格な輸入規制にあります。これらの国々が規制を強める背景には、自国の外貨が海外へ流出することを防ぎ、経済の安定を図るという切実な狙いが潜んでいるようです。日本の中古車は世界中で愛されていますが、国家の経済政策という大きな壁に直面しています。
中古車輸出の最前線に立つビィ・フォアードによれば、2019年08月のスリランカ向け輸出量は、前年のわずか10%程度にまで落ち込んでいるとのことです。もともとスリランカは、比較的高価な車両を好んで購入する「優良顧客」とも言える市場でした。しかし、関税が高い水準で維持されていることが、買い控えを招く深刻なハードルとなっているのでしょう。
ここで注目すべき「関税」とは、輸入品に対して国が課す税金のことです。この税率が上がれば、現地での販売価格を跳ね上げ、消費者の購入意欲を著しく削いでしまいます。2019年06月には一部の規制緩和が見られたものの、依然として高い税負担が輸出の足を引っ張っています。日本の高品質な車を求める声がある一方で、コストの壁が立ちはだかっているのです。
貿易統計を詳細に見ていくと、2019年07月の中古乗用車の輸出額は472億6000万円となり、前年同月比で14.4%ものマイナスを記録しました。特に対前年比で54.1%減となったスリランカや、83.5%減という激減を見せたパキスタンの数字は衝撃的です。特定の国への依存度が高い輸出ビジネスにおいて、カントリーリスクがいかに甚大であるかを物語っています。
私個人の見解としては、今回のような海外の政策変更による価格下落は、国内のユーザーにとっては必ずしも悪い話だけではないと考えています。良質な中古車が安く国内市場に流通する可能性を秘めているからです。しかし、自動車産業全体を俯瞰すれば、輸出の停滞は国内の買い替えサイクルを鈍化させ、経済の活力を奪いかねない懸念材料であることは間違いありません。