自動車の神経網とも呼ばれる「ワイヤハーネス」の世界で、業界を牽引する住友電気工業が大きな転換期を迎えています。同社は、従来の銅製から軽量なアルミ製への切り替えを加速させており、その比率を現在の3倍にまで引き上げる計画を打ち出しました。2019年9月25日現在、自動車業界は電動化の波に洗われており、車両の軽量化は航続距離を伸ばすための最優先事項と言えるでしょう。
ワイヤハーネスとは、車内の各機器に電力や信号を伝えるために束ねられた電線の集合体のことで、人間で例えるなら血管や神経に相当する不可欠な部品です。しかし、近年の多機能化によりその重量は増す一方で、重い銅線の代わりに軽いアルミを採用することは、燃費向上に直結する画期的なアプローチとなります。SNSでは「車もダイエットが必要な時代」「住友電工の技術力が日本のEV化を支える」といった期待の声が数多く寄せられています。
2019年3月期の連結決算に目を向けると、住友電工の売上高は3兆1779億円に達し、前年比で3%の成長を記録しました。驚くべきことに、その総売上の約4割をワイヤハーネス事業が占めており、まさに同社の経営を支える大黒柱となっています。しかし、一分野に依存しすぎることは経営上のリスクにもなりかねないため、同社は今、自らの強みを活かしながらも「脱ハーネス」を見据えた新たな収益源の確保に奔走しているのです。
電装化をリードする住友電工の次なる一手と業界の展望
単なる部品供給メーカーに留まらず、次世代の車載システムを丸ごと構想する同社の姿勢には、編集部としても非常に強い関心を抱いています。特に自動運転技術の進展に伴い、情報の伝達スピードや信頼性はこれまで以上に重要視されるはずです。アルミ電線への移行は、単なるコスト削減や軽量化の手段ではなく、激変するCASE(ケース)時代を生き抜くための戦略的な布石であると私は確信しています。
CASEとは、接続性(Connected)、自動運転(Autonomous)、共有(Shared)、電動化(Electric)の頭文字を取った造語で、現在の自動車産業における四大潮流を指します。住友電工がこの大きなうねりの中で、どのようにワイヤハーネスを進化させ、あるいはそれ以外の新領域を開拓していくのか、その動向から目が離せません。既存の成功に甘んじることなく、自らの屋台骨を再構築しようとする果敢な挑戦は、日本の製造業が目指すべき一つの指針となるでしょう。