日本百貨店協会が発表した2019年8月の全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比2.3%増を記録しました。これは5カ月ぶりにプラスへと転じた明るいニュースであり、消費税率引き上げを10月に控えた「駆け込み需要」が鮮明になっています。総売上高は約4200億円に達し、多くの消費者が増税前に買い物を済ませようと動いている様子が伺えます。
今回の売上を牽引したのは、主に「高額品」や「冠婚葬祭に関連する品々」です。特に結婚式で身に着ける宝飾品や礼服といった、人生の節目に必要なアイテムが都市部を中心に大きく伸びました。これまで苦戦を強いられてきた衣料品部門も、七五三などの需要に支えられて1.6%増を記録しており、実に14カ月ぶりのプラス成長という劇的な回復を見せています。
また、増税後の「軽減税率」の対象外となる商品にも注目が集まっています。酒類や高級時計、雑貨などは今のうちに手に入れようとする動きが活発で、賢く買い物を楽しむ消費者の姿が目に浮かびますね。SNS上でも「高い買い物は今のうちに」「増税前にずっと欲しかった時計を買った」といった投稿が相次いでおり、購買意欲の高さがネットを通じても伝わってきます。
ただし、2014年の増税前と比較すると、その勢いは少し穏やかだと言えるでしょう。2014年3月には25%増という驚異的な数字を記録しましたが、現在はそこまでの爆発力は見られません。これは消費者が前回の経験を活かし、冷静に判断している証拠かもしれません。私個人としては、今の百貨店が提供する「質の高い体験」が、増税という壁を超えて支持されている点に大きな意義を感じます。
インバウンド市場に影?免税売上の減少と今後の課題
一方で、手放しでは喜べない側面も浮き彫りになりました。訪日外国人による免税売上高は、前年同月比0.7%減の256億円となり、7カ月ぶりにマイナスへと転じています。これには中国元の価値低下や、日韓関係の冷え込みによる韓国人観光客の減少が深く関わっています。特に韓国からの旅行者による売上は半減しており、インバウンド依存の危うさが露呈した形です。
ここで言う「インバウンド」とは、外国人が日本を訪れて消費活動を行うことを指しますが、外部環境の変化に非常に敏感なのが特徴です。百貨店が今後も安定した成長を遂げるためには、海外からのゲストを大切にしつつも、国内のコアなファンをいかに繋ぎ止めるかが重要になるでしょう。2019年9月25日現在の状況を見る限り、内需の底堅さが百貨店の生命線となっているのは間違いありません。