中部経済産業局が2019年09月24日に発表した最新のデータによると、北陸3県における2019年07月の鉱工業生産指数(2015年を100とした速報値・季節調整済み)は、前月比で3.1%上昇し100.6となりました。この指標は、製造業の活動状況を数値化したもので、地域の経済熱を測る重要なバロメーターです。前月の落ち込みから一転して2カ月ぶりの上昇を見せており、地元の製造現場に活気が戻りつつある様子が伺えるでしょう。
今回の景気回復を力強く牽引したのは、電子部品・デバイス工業や化学工業といった北陸の屋台骨を支える主力産業です。なかでもスマートフォンや精密機器に欠かせない電子部品・デバイス工業は、前月比で8.2%という大幅な伸びを記録しました。SNS上でも「北陸の技術力が再び注目されている」「製造現場の底力を感じる」といったポジティブな反響が寄せられており、地域経済の回復に対する期待感が一気に高まっている状況です。
しかし、手放しで楽観視できない側面も存在します。生産の総合的な判断について、当局は「高水準で推移しているものの、一部に弱い動きがみられる」という慎重な見解を据え置きました。実は、前年同月比で見ると依然としてマイナスが続いており、電子部品業界は8カ月連続で前年実績を下回っています。この「前年同月比」とは、季節による変動を除外して1年前の同じ時期と比較する手法であり、長期的なトレンドを把握するために用いられます。
こうした不透明感の象徴と言えるのが、石川県白山市に拠点を置くジャパンディスプレイ(JDI)の動向です。同社は2019年09月13日に、スマートフォン向け液晶パネルを製造する主力・白山工場の稼働停止延長を公表しました。世界的な需要の波に左右される厳しい環境下で、地元経済への影響を懸念する声も根強く残っています。大規模な工場の動きは地域全体のサプライチェーンに直結するため、今後の動向から片時も目が離せないと言えます。
北陸経済の未来を拓く鍵とは
私自身の見解としては、今回の上昇は単なる一時的な揺り戻しではなく、北陸が持つ「ものづくり」の柔軟性が発揮された結果だと評価しています。確かにスマートフォンの市場動向に左右される危うさはありますが、化学工業を含めた多角的な産業構造がリスクヘッジとして機能している点は心強い限りです。変化の激しい現代において、特定の企業に依存しすぎない産業ポートフォリオの構築が、地域の安定成長には不可欠なのではないでしょうか。
今後は、世界情勢の影響を受けやすい電子デバイス分野が、どこまで前年水準まで盛り返せるかが焦点となるはずです。現時点での生産水準自体は決して低くないため、現場の創意工夫と需要の回復が噛み合えば、さらなる飛躍も十分に期待できるでしょう。北陸の企業が持つ高い技術力が、再び世界を驚かせる日が来ることを信じて止みません。今後も発表される経済指標を注視し、この地域の確かな歩みを応援し続けていきたいと考えています。