俳優・宝田明が愛でる奇跡の「すずり」に学ぶ、表現者の魂と文化大革命を越えた芸術の輝き

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銀幕のスターとして長年第一線で活躍し続ける俳優、宝田明氏。彼が今、自身の人生を彩る大切な宝物として紹介してくれたのは、激動の歴史を生き抜いてきた一面の「すずり」です。この逸品は、中国の清代における黄金期を築いたとされる、第4代皇帝・康熙帝の時代に作られた非常に貴重なものと言われています。

このすずりは、かつて宝田氏が敬愛した亡き大家から直接譲り受けたという、深い縁に結ばれた品物でもあります。特筆すべきは、1966年から10年近く続いた中国の「文化大革命」という荒波を奇跡的に免れた点でしょう。この革命は、古い習慣や文化を打破しようとする過激な社会運動であり、多くの歴史的遺産が「紅衛兵」の手によって破壊されました。

紅衛兵とは、毛沢東を支持し、革命の先頭に立った学生たちを中心とする組織を指します。彼らの破壊活動から逃れ、現代までその美しい姿を留めていること自体が、まさに奇跡と呼ぶにふさわしい物語を秘めています。SNS上でも「歴史の荒波を越えてきた本物の道具には、形容しがたい重みがある」といった、芸術品の持つ生命力に感動する声が多く寄せられました。

2019年09月26日現在、宝田氏はその重厚なすずりを前にして、表現者としての自らの在り方に深く思いを馳せています。形として残る彫刻や絵画とは異なり、役者の表現は常にその場限りの肉体的なパフォーマンスに依存するものです。だからこそ、こうした不朽の芸術品に触れることで、感性を研ぎ澄ます時間が重要になると彼は説いています。

私自身の見解を述べさせていただくなら、本物の芸術に触れることは、単なる趣味を超えた「魂の修練」であると感じます。宝田氏のように、歴史を背負った造形物からエネルギーを吸収し、それを己の演技に昇華させる姿勢こそが、プロフェッショナルが持ち続けるべき謙虚さではないでしょうか。一流を知ることで、自らの芸もまた磨かれていくのです。

時代を超えて受け継がれるものには、人の心を動かす確かな「熱」が宿っています。宝田明氏が大切にするこのすずりは、単なる書道具ではありません。それは、過酷な時代を生き抜いた強さと、永遠に色褪せない美意識を象徴する、彼の役者人生の指針そのものと言えるでしょう。私たちもまた、日々の暮らしの中で心震える名品に出会いたいものです。

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