日立建機が挑むV字回復へのシナリオ!在庫削減と営業キャッシュフロー黒字化で描く次世代戦略

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中国東部に位置する安徽省の組み立て工場では、かつて活気に満ちていたオレンジ色の油圧ショベルたちの製造ラインが、今は静かに再始動の時を待っています。世界経済の減速という荒波の中で、日立建機は今、大きな経営の舵取りを迫られているのです。現地の競合他社による激しい価格攻勢も相まって、2019年05月以降、同社は中国での生産台数を前年度比で半減させるという、痛みを伴う決断を下しました。

2019年04月から06月期における中国市場の売上高は264億円と、前年同期に比べて18%も減少する厳しい結果となりました。工場をあえて休ませるという選択は、膨れ上がった在庫が財務を圧迫し始めたことへの警戒心の表れといえるでしょう。SNS上でも「建機メーカーの在庫調整は景気の先行指標になる」といった鋭い指摘が散見され、投資家たちの間でも同社の次なる一手に熱い視線が注がれています。

ここで注目すべき指標が「在庫回転日数」です。これは、抱えている在庫がすべて入れ替わるまでに何日かかるかを示すもので、数字が小さいほど効率的に商品が売れていることを意味します。残念ながら2019年06月末時点では約120日と、前年から16日も延びてしまいました。売上が微減する一方で在庫が20%も急増してしまった事実は、生産と販売のバランスが崩れていることを如実に物語っています。

キャッシュフロー改善が鍵を握る!筋肉質な財務体質への転換

2019年03月期の決算だけを見れば増収増益と華やかですが、その舞台裏では「営業キャッシュフロー(CF)」が256億円の赤字を記録していました。営業CFとは、企業が本業の活動を通じて実際に手にした現金の流れを指す重要な指標です。いくら帳簿上の利益が出ていても、手元に現金が残らなければ健全な経営とは言えません。現金回収の遅れが、同社の足取りを重くさせていた要因だったのです。

日立建機の桂山哲夫CFOは、2019年10月以降に在庫回転日数を100日まで短縮し、営業CFを黒字化させるという力強い展望を示しています。あわせて、自己資本に対する借金の割合を示す「ネットDEレシオ」を2020年03月末までに0.4以下へ引き下げる目標も掲げました。こうした財務の健全化は、不透明な経済状況を生き抜くための「防波堤」を築く作業であり、企業としての基礎体力を高めるために不可欠なプロセスです。

さらに、在庫削減で生み出した資金は、国内生産体制の抜本的な改革へと投じられる予定です。2022年度までに各地に分散していた組み立て工場や設計機能を土浦工場などへ集約することで、年間60億円もの利益改善を見込んでいます。景気変動の激しい建機業界において、こうした効率化の巧拙こそが市場の評価を分ける分水嶺となります。現状の株価に対してアナリストが強気な姿勢を崩さないのも、この戦略への期待の現れでしょう。

個人的な見解としては、目先の売上を追わずに「在庫の膿」を出し切ろうとする日立建機の姿勢は、非常に誠実かつ合理的であると感じます。景気が冷え込んでいる時こそ、内部の無駄を削ぎ落として次なる跳躍に備える戦略は、長期的な企業価値の向上に直結するはずです。この「耐え忍ぶ時期」を乗り越えた先に、より強靭になったオレンジの巨人が再び世界を席巻する日が来ることを、期待せずにはいられません。

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