創薬ベンチャーのメドレックスが、2019年9月25日に驚きの業績下方修正を発表しました。同社によると、2019年12月期の連結最終損益は18億5600万円の赤字に達する見通しです。当初想定していた9億4300万円の赤字から大幅な拡大となり、投資家の間でも大きな注目を集めています。前期の12億6700万円の赤字をさらに上回る厳しい数字ですが、これは同社が攻めの姿勢を崩していない証左とも言えるでしょう。
今回の下方修正には、米国企業とのライセンス契約に関する会計上の変化が大きく影響しているようです。具体的には、筋肉の硬直を和らげる「経皮製剤」の開発・販売契約において、想定していた臨床試験の成功報酬が分割払いとなりました。経皮製剤とは、飲み薬ではなく皮膚を通じて薬を吸収させる技術のことで、患者さんの負担を減らす画期的な手法です。一括での利益計上が見送られたことで、売上高は当初予想の10億900万円から1億7200万円へと減少しました。
一方で、営業赤字の背景には未来への先行投資というポジティブな側面も隠されています。メドレックスは現在、神経の痛みを和らげる新たな治療薬の臨床試験を米国でスタートさせました。この「臨床試験」とは、新しい薬を実用化するために安全性や効果を人間で確かめる最終段階に近い重要なプロセスです。この試験を推進するために追加の研究開発費を計上したことが、赤字幅を押し上げる主な要因となりました。まさに「身を削って種をまく」フェーズにあると言えます。
SNSでは「バイオベンチャーに赤字はつきものだが、予想以上の修正幅に驚いた」という慎重な声がある一方で、「新薬の開発が順調に進んでいるからこそのコスト増だ」と、将来性に期待を寄せるファンも少なくありません。売上高自体は前期比で21.5倍という驚異的な成長を見せており、ビジネスモデルの核となる技術力は着実に市場に浸透しつつあります。短期的な数字に一喜一憂せず、その裏にある技術の進展を見極めることが重要でしょう。
編集者の視点として申し上げれば、メドレックスの決断は非常に勇気あるものだと評価しています。創薬の世界では、開発を止めることは衰退を意味します。目先の利益を優先して研究の手を緩めるのではなく、あえて赤字を覚悟してでも米国での臨床試験という大きな勝負に出た姿勢は、中長期的な企業価値を高めるはずです。2019年12月31日の期末に向けて、彼らがどのような成果を積み上げるのか、そのドラマから目が離せません。