大塚ホールディングス傘下で研究開発を推進する大鵬薬品工業が、大きな歴史的一歩を刻みました。2019年09月24日、同社が開発した経口抗がん剤「ロンサーフ」が、中国国家薬品監督管理局(NMPA)から正式に製造販売承認を取得したのです。これまで日米欧を中心に展開されてきたこの画期的な治療薬が、ついにアジア最大の市場である中国へと上陸します。
今回、承認の対象となったのは、標準的な治療を経験した後に進行が見られた「転移性結腸・直腸がん」という非常に困難な状況にある患者さんです。この決定は、日本、中国、韓国、タイの4カ国で実施された国際的な「治験(新薬の有効性と安全性を確認するために人間を対象に行う試験)」の結果に基づいています。アジア圏の患者さんにおける確かなデータが、今回の承認を強力に後押ししました。
大鵬薬品にとって、中国で抗がん剤の承認を得るのはこれが初めての快挙となります。近年の中国では、食生活の変化や高齢化に伴い、結腸・直腸がんを患う方が増加傾向にあります。こうした社会背景の中で、治療の選択肢が広がったことは、現地の医療現場や患者さんにとって、まさに待ち望んでいた朗報だと言えるでしょう。SNS上でも「日本の創薬力が中国の患者を救う」「期待の新星だ」といったポジティブな声が広がっています。
広がる適応領域とグローバル市場への挑戦
ロンサーフの勢いは、結腸・直腸がんだけに留まりません。2019年02月には、米国食品医薬品局(FDA)から「切除不能な進行・再発の胃がん」に対する追加承認をすでに受けています。さらに、国内でも2019年08月に厚生労働省が、同年09月には欧州委員会(EC)が同様の適応拡大を承認しました。胃がんにおいても世界標準の治療薬としての地位を、着実に固めつつあるのです。
編集者の視点から見れば、日本発の医薬品がこれほどまでに短期間で世界主要地域を網羅していく姿には、胸が熱くなるものがあります。がん治療は「総力戦」です。ロンサーフのような飲み薬(経口薬)は、入院せずとも自宅で治療を継続できる可能性を広げるため、患者さんのQOL(生活の質)を高める上でも、極めて重要な役割を果たすのではないでしょうか。
今後、巨大な中国市場での開拓が進むことで、大鵬薬品のグローバルなプレゼンスは一層高まることが予想されます。2019年09月26日現在の状況を鑑みると、このニュースは日本の医薬品業界全体に勇気を与えるポジティブなトピックです。さらなる適応拡大や、次なる新薬の登場にも大きな期待がかかります。世界中のがんと闘う人々に、一筋の光が届くことを願って止みません。