2019年10月01日に控えた消費税率の引き上げを目前に控え、私たちの生活圏でも大きな動きが見え始めています。九州地方の鉄路を支えるJR九州が2019年09月25日に発表した速報によると、同年09月01日から23日までの定期券収入が、前年の同じ時期と比較して27.6%という驚異的な伸びを記録したことが分かりました。
この急激な数字の上昇は、増税前に少しでも支出を抑えようとする利用者の「駆け込み購入」が集中した結果といえるでしょう。SNS上でも「今のうちに半年分を更新しておいた」「窓口が大行列で驚いた」といった投稿が相次いでおり、家計を守ろうとする切実なユーザーの心理が、目に見える形となって数字に表れています。
台風の逆風を跳ね返す「増税前」の特殊需要
2019年09月は相次ぐ台風の上陸によって鉄道ダイヤが乱れ、旅行や出張などの「中長距離収入」が大きく落ち込む苦しい状況にありました。しかし、今回の定期券収入の爆発的な増加がその穴を埋める形となり、近距離輸送などを含めた運輸収入全体では、前年同期比2.1%増の141億円を確保したと報告されています。
ここで注目したい「運輸収入」とは、鉄道会社が旅客を運ぶことで得た運賃や特急料金の合計を指す専門用語です。自然災害という不可抗力によるマイナスを、消費増税という社会的な節目が救う格好となったのは、非常に皮肉ながらも興味深い現象ではないでしょうか。鉄道経営の難しさと、社会情勢への敏感さが改めて浮き彫りになりました。
筆者の個人的な見解としては、こうした一時的な収益増に一喜一憂するのではなく、増税後の買い控えによる反動減をどう食い止めるかが真の正念場だと感じます。利便性の向上やキャッシュレス決済の還元策など、利用者が「高くても乗りたい」と思える付加価値の提供が、2019年10月以降のJR九州には強く求められることになるはずです。