エネルギー業界を揺るがす前代未聞のスキャンダルが発覚しました。関西電力の役員ら20名が、福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていたことが明らかになったのです。2019年9月27日、大阪市内で開かれた記者会見において、岩根茂樹社長は深々と頭を下げて謝罪しました。受領した総額は、2011年から2018年までの期間で約3億2000万円相当にものぼると公表されています。
この問題の核心は、金品の原資が原発関連の工事費であった可能性が高いという点にあります。高浜原子力発電所がある地元の建設会社から、元助役を通じて資金が還流していた疑いが浮上しているのです。SNS上では「我々が支払った電気料金が巡り巡って幹部の懐に入っていたのか」といった怒りの声が噴出しています。公共性の高いインフラ企業として、その倫理観が厳しく問われる事態と言わざるを得ません。
今回の件で社内処分を受けたのは、八木誠会長や岩根社長を含む幹部らです。受領した20名の中には役員だけでなく、OBや一般社員も含まれていました。岩根社長は会見で、就任祝いとして記念品を受け取ったことを認めています。一方で「非常に高額であったため、後で返却しようと考えていた」と釈明しました。しかし、長期間にわたり多額の金品を保持していた事実は、社会的な常識から大きく逸脱しています。
拒めなかった「地元の有力者」との歪んだ関係性
なぜ、これほどまでの事態が見過ごされてきたのでしょうか。岩根社長の説明によれば、金品を贈った元助役は1977年から1987年まで高浜町の助役を務めた人物で、退職後も絶大な影響力を持つ「地元の有力者」でした。返却を申し出ても厳しい態度で拒絶されたため、関係悪化を恐れて一時的に預かる判断をしたと述べています。地域の有力者に逆らえないという構図が、企業統治の機能不全を招いたようです。
ここで注目すべきは、税務当局による調査の結果です。高浜原発や大飯原発の工事を請け負う建設会社から、元助役へ約3億円の手数料が流れていたことが判明しました。この「還流マネー」が、関電幹部らへの現金提供に使われていたとみられます。特定の個人に多額の資金が集中し、それが電力会社への工作資金となる不透明な構造は、日本の原発政策における「負の側面」を象徴しているように感じられます。
岩根社長は電気事業連合会の会長という重責も担っていますが、現時点での辞任は否定しています。しかし、国民の不信感は頂点に達しており、儀礼の範囲を超えた金品受領を「預かっていただけ」とする説明に納得する人は少ないでしょう。クリーンなエネルギー供給を掲げる一方で、その裏側で不透明な資金が動いていた事実は、関西電力という組織全体の体質改善が急務であることを物語っています。