東北電力の女川原子力発電所2号機(宮城県)が、再稼働に向けた大きな節目を迎えようとしています。2019年9月27日に開催された原子力規制委員会の定例会合にて、再稼働の前提となる安全性審査の議論が実質的に終了しました。これにより、年内にも事実上の合格証にあたる「審査書案」がまとめられる見通しとなり、地元のみならず全国から熱い視線が注がれています。
今回の審査議論の終結は、2011年3月11日の東日本大震災で被災した原発としては、日本原子力発電の東海第二原発に続く2基目の事例となります。東北電力の管内では初めての合格となるため、エネルギー供給の安定化を目指す同社にとって極めて重要なステップです。SNS上では「地元の復興に向けた確かな一歩だ」と期待する声がある一方で、「避難計画は万全なのか」といった慎重な意見も飛び交い、活発な議論が巻き起こっています。
ここで注目すべきは、女川2号機が「沸騰水型(BWR)」という炉型を採用している点です。これは事故を起こした福島第一原発と同じ仕組みですが、厳しい「新規制基準」をクリアする必要があります。新規制基準とは、巨大地震や津波、テロ攻撃といった過酷な事態を想定し、従来の基準を大幅に強化した世界最高水準の安全ルールを指します。この高いハードルを越えることは、技術的な安全性が担保された証左とも言えるでしょう。
しかし、審査に合格したからといって、すぐに発電が始まるわけではありません。実際に原子炉を動かすためには、周辺自治体による「地元同意」を取り付ける必要があり、住民との対話が不可欠です。さらに、津波対策の防潮堤建設といった安全対策工事の完了も条件となっており、実際の再稼働時期は2020年度以降になる見込みです。安全への投資額は約3400億円にものぼり、東北電力の並々ならぬ覚悟が伺えます。
編集者の視点として、被災地の原発が再稼働へと舵を切ることは、日本のエネルギー政策における象徴的な出来事だと感じます。火力発電への依存を減らし、脱炭素社会を目指す上で、ベースロード電源としての原発の役割は無視できません。ただし、住民の不安を拭い去るためには、数値上の安全性だけでなく、徹底した情報公開と対話による「安心」の構築が、今後さらに重要になってくるはずです。