AIが変える囲碁の常識とソニー買収の決断に学ぶ!令和の経営に求められる「三々」の突破力とは

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囲碁の世界には、盤面の隅から数えて縦横ともに3番目の地点を指す「三々(さんさん)」という言葉が存在します。かつてこの場所は、確実に自分の陣地を確保しやすい一方で、盤面全体への影響力や勢力を広げる妨げになると考えられていました。そのため、対局の序盤からこの地点に打ち込むことは、セオリーに反する消極的な一手であると長年タブー視されてきた歴史があります。

しかし、こうした伝統的な常識を根底から覆したのが、近年急速な進化を遂げた人工知能(AI)の存在です。AIは膨大なシミュレーションを通じて、序盤から三々へ侵入することの有効性を証明し、現代ではプロ棋士たちの間でもこの戦術が当たり前の光景となりました。過去の「定石(じょうせき)」、つまり最善とされる決まった打ち方に縛られず、新たな可能性を模索する姿勢こそが、停滞を打破する鍵となるのでしょう。

こうした既成概念の打破は、囲碁の世界に限った話ではなく、ビジネスの歴史においても重要な転換点を作ってきました。ちょうど30年前となる1989年9月27日、ソニー株式会社が米国の映画大手コロンビア・ピクチャーズ・エンターテインメントの買収を発表した出来事もその一つです。当時の電機業界では「優れた製品(ハード)を売ること」こそが正義であり、コンテンツという無形の資産に巨額を投じるのは異例の決断でした。

この買収劇は、負債の肩代わりを含めて6000億円を超えるという、当時としては桁外れの規模で進められました。社内からは「あまりに高すぎる買い物だ」と危惧する声が噴出しましたが、当時の盛田昭夫会長は「これは価値のある投資だ」と一歩も引きませんでした。ハードウェアとソフトウェアが車の両輪のように機能して初めて新しい文化が生まれるという、氏の先見の明が現在のエンタメ帝国ソニーの礎を築いたのです。

守りの経営から「攻めの定石」へ!現代ビジネスへの警鐘

損得勘定や目先の数字はもちろん大切ですが、それだけで語り尽くせないのが経営の深みであり、面白さであると感じずにはいられません。SNS上でも「今の日本企業に必要なのは、こうしたリスクを恐れない胆力ではないか」という意見が多く見受けられます。過去の成功体験に固執せず、未知の領域へ一歩を踏み出す勇気こそが、30年経った今の時代においても求められている本質的なリーダーシップといえます。

現在の日本経済に目を向けると、上場企業の内部留保は120兆円を超え、過去最高の水準に達していると報告されています。市場からの要請を受けて投資を増やす動きも見られますが、未だに多くの企業がコスト削減や人件費の抑制によって利益を確保する「守りの姿勢」から抜け出せていないように見えます。この停滞した空気感に対し、もどかしさを感じるビジネスパーソンも少なくないのではないでしょうか。

AIが囲碁や将棋の世界で次々と新しい勝ち筋を見つけ出しているように、私たち人間もまた、古い定石をアップデートする時期に来ているのかもしれません。効率化や節約だけで成長を望むのは、もはや限界を迎えています。ソニーがかつてハリウッドに夢を託したように、現代の経営者たちにも、盤上の常識を塗り替えるような大胆な「三々」への打ち込みを期待したいところです。

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