2019年09月27日、国際社会の視線がニューヨークの国連舞台に注がれています。安倍晋三首相は、緊迫の度を増す米国とイランの対立解消に向け、精力的な首脳会談を重ねました。一連の日程を終えた首相は、緊張緩和に向けた粘り強い対話を継続し、可能な限りの努力を尽くす決意を力強く語っています。
国際秩序を安定させるためには、派手なパフォーマンスだけでなく、水面下での地道な交渉が欠かせません。水面を優雅に進むアヒルが、見えない場所で懸命に足を動かす「アヒルの水かき」のような外交こそが今、日本に求められています。目立たずとも確実に関係を繋ぎ止める役割に、世界からの期待が寄せられていると言えるでしょう。
今回の外交で最も注目を集めたのは、イランのロウハニ大統領との直接会談です。2019年06月のイラン訪問から間を置かずに実現したこの顔合わせは、両首脳が長年築き上げてきた厚い信頼関係の証でもあります。国連総会の場でも毎年対話を重ねてきた実績が、一触即発の情勢下で大きな意味を持ってくるはずです。
サウジアラビアの石油施設への攻撃を巡っては、国際的な疑念が渦巻いています。安倍首相はイランの関与を即座に断定せず、冷静な対応を促す姿勢を貫きました。あつれきを一度に解消する難しさを理解した上で、最悪の事態である武力衝突を避けるための「知恵」を求める日本のスタンスは、非常に現実的で賢明な判断だと感じます。
SNS上では「日本だからこそできる仲裁がある」といった応援の声がある一方で、「米国の顔色を伺いすぎではないか」という厳しい意見も見受けられます。しかし、ロウハニ大統領から「戦争は望まない」という言葉を引き出したことは、対話の機運を醸成する第一歩として、大きな成果と評価すべきではないでしょうか。
安倍首相はヨルダンのアブドラ国王とも会談し、中東全域の安定を見据えた動きを見せています。ここでの鍵は、こうした日本の外交努力がトランプ米大統領にどこまで届いているかという点でしょう。日米首脳会談後、首相は「相当突っ込んだ意見交換ができた」と手応えを口にしており、蜜月関係を活かした独自の交渉が期待されます。
日本外交はかつて「顔が見えない」と揶揄されることもありましたが、自国第一主義が蔓延する現代において、そのバランス感覚こそが強力な「ソフトパワー」となります。ソフトパワーとは、軍事力や経済力による強制ではなく、文化や外交姿勢への共感を通じて他国を魅了し、味方につける影響力のことです。
日本の安全保障の基軸が日米同盟にあることは揺るぎない事実です。しかし、単に米国の主張を繰り返すだけが同盟国の役割ではありません。時にはトランプ大統領に対して直言し、冷静な判断を促す「首に鈴をつける」役割を果たすことこそが、結果として米国、そして世界の利益に繋がるのだと確信しています。