日韓貿易摩擦が韓国財閥を強くする?供給網の「自立」と文政権の経済変革がもたらす未来図

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2019年08月、日本政府が韓国を輸出管理の優遇対象国である「グループA(旧ホワイト国)」から除外したことは、東アジアの経済圏に大きな衝撃を与えました。この措置により、韓国を代表する巨大企業群、いわゆる「財閥(チェボル)」は厳しい貿易制限に直面しています。特に世界的な供給網を構築してきたサムスングループや現代自動車などは、原材料の調達ルートが脅かされるという、かつてない試練に立たされているのです。

SNS上では「韓国経済への打撃は計り知れない」という悲観的な声が目立つ一方で、「これを機に日本依存から脱却すべきだ」という強気な意見も散見されます。目先のマクロ経済指標や企業業績に痛みが走ることは避けられない事実でしょう。しかし、長期的な視点に立てば、この荒波こそが韓国の産業構造をより強固なものへと変貌させる、絶好の「糧」になる可能性を秘めているのではないでしょうか。

2017年05月10日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任して以来、韓国政府は経済を支配する財閥に対して厳しい監視の目を向けてきました。不透明な支配構造や、系列企業間での取引を優先する垂直統合モデルは、格差を広げる要因として批判の対象となっていたのです。ところが、日本が「輸出規制」というカードを切ったことで、政府と財閥を取り巻く冷え切った空気には、変化の兆しが見え始めています。

自給自足への転換と「内製化」がもたらす新たな競争力

文在寅大統領は最近の演説において、日本製品への依存から脱却し、技術の「自立」を追求する姿勢を鮮明に打ち出しました。ここでいう「垂直統合」とは、製品の企画から原材料の調達、製造までを一貫して自社グループ内で行う仕組みを指します。これまでは経営資源の分散としてネガティブに捉えられがちでしたが、供給網が分断される危機下においては、むしろ自前で全てを完結できる体制が強力な防波堤となるはずです。

今後は、サプライチェーンを完全に掌握するために、韓国の財閥による企業買収(M&A)が加速する展開も予想されるでしょう。もちろん、長年築き上げた取引先を急に変更すれば、製品の品質低下や供給不足といったリスクが伴います。しかし、私はこの「内製化」への挑戦こそが、外部の政治リスクに左右されない、真に自立した強靭な経済基盤を構築するための避けては通れない道であると確信しています。

これまで社会的平等の実現に重きを置いてきた文政権ですが、国内景気の減速と対日摩擦の激化を受け、今後は再び「経済成長」へと舵を切らざるを得ないでしょう。政府が大企業の重要性を再認識し、国家プロジェクトとして技術開発を支援する流れが強まれば、官民の利害はかつてないほど一致するはずです。2019年09月27日現在の情勢を見る限り、この摩擦は韓国財閥にとって、次なる進化を遂げるための重要な転換点となるに違いありません。

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