2019年09月30日、インディゴブルー会長の柴田励司氏が、現代社会における郵便局の在り方について鋭い提言を行いました。わずか62円という低価格で全国津々浦々まで手紙を届けてくれる郵便局は、まさに国民生活のラストワンマイルを支える公共インフラです。局長が地域の相談役を担い、子供たちの社会科見学を快く受け入れる姿は、古き良き日本の「地域密着」を象徴しているといえるでしょう。
民間企業として利益を追求する一方で、郵便法に基づき全国約2万4000局のネットワークを維持し続ける姿勢は、決して経済合理性だけで測れるものではありません。ショッピングセンターやコンビニエンスストアが採算を理由に撤退していく過疎地において、最後まで灯を守り続ける郵便局の存在価値は極めて大きいものです。しかし、そんな国民からの厚い信頼を根底から揺るがす深刻な事態が、いま世間を騒がせています。
現在、大きな社会問題となっている「かんぽ生命の不適切募集問題」は、あまりに衝撃的な内容でした。顧客の利益を軽視し、言葉巧みに契約を乗り換えさせる手法は、SNS上でも「信頼していた郵便局がなぜ」「まるで詐欺のようだ」と厳しい批判が相次いでいます。ブランドイメージの失墜は避けられませんが、柴田氏は、この問題の本質が単なる営業担当者の倫理観欠如だけにあるのではないと分析しています。
収益構造が生んだ「無理」の歪みと組織の限界
多くのメディアでは厳しい「ノルマ」が元凶と報じられていますが、柴田氏はより深い「収益構造」に目を向けています。公共性の高い郵便事業を維持しながら、民営化によって高い収益性を求められるという矛盾が、現場に過度な負担を強いたのではないでしょうか。手数料収入に依存せざるを得ない仕組みが、現場での無理な数字づくりを加速させ、結果として顧客不在の営業活動を招いたという指摘には説得力があります。
また、全国で40万人もの従業員を抱える巨大組織を、東京の本社が一律にコントロールしようとする体制にも限界が見え隠れしています。北海道から沖縄まで、地域ごとに求められるニーズは千差万別であるはずです。現場感覚を失った本社による「求心力型」の統治では、地域住民一人ひとりの顔が見えるサービスを提供することは困難でしょう。今こそ、現場に裁量を与える柔軟な組織への転換が求められています。
デジタル化が加速する2019年現在の日本において、ネット上には情報の「おすすめ」が溢れかえっています。しかし、だからこそ人々は「見知った相手からの信頼できる言葉」をより一層求めるようになるはずです。柴田氏は、郵便局が再び「地域の顔」としての原点に立ち返り、各地方の特性に合わせた「遠心力型」の経営にシフトすることを提言しています。地域に根ざした郵便局の再生は、私たちの暮らしを豊かにする鍵となるでしょう。