2019年6月15日から16日にかけて軽井沢で開催された主要20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合では、地球規模の環境問題、特にプラスチックごみ(廃プラ)問題が最大の議題として議論されました。世界経済フォーラムの推計によると、毎年少なくとも800万トンもの廃プラが海へ流出しているとされており、海洋汚染を食い止めるための具体的な対策が国際社会に強く求められているからです。
この深刻な環境危機に対応するため、会合では各国が廃プラ削減の取り組みを相互監視する国際枠組みの創設に合意しました。この枠組みの下、各国は排出する廃プラのデータを共有し、削減に向けた取り組みを進めることになります。しかしながら、その実効性には課題も残されています。なぜなら、この合意には各国が達成すべき具体的な数値目標や、詳細な具体策が盛り込まれなかったからです。
廃プラ問題の根底には、「資源」としての側面と「ごみ」としての側面の二面性があり、規制を難しくしている要因となっています。これまで廃プラは、資源として途上国などに輸出されてきましたが、特に中国は自国の環境汚染を理由に、2017年末に輸入を禁止しました。この措置によって、それまで行き場を失った廃プラが、新たな国際問題を引き起こす事態となっているのです。
廃プラの主な排出源は、中国や東南アジアなどの新興国が多数を占めています。これらの地域では経済発展に伴いプラスチックの使用量が急増する一方で、ごみの適正な管理体制が未だ十分に整っていない場所が多いのが現状です。環境破壊を食い止めるためには、こうした新興国に対する技術的・財政的な支援も欠かせないでしょう。
この度合意された国際枠組みは、各国が排出データを共有することで、廃プラ削減に向けた一定の効果が期待されています。しかし、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」が、各国に温室効果ガスの削減努力を義務づけているのとは異なり、廃プラについては、排出削減の義務化を見送る形となりました。これは、廃プラの管理や対策に対する各国の熱意や進捗状況に大きな開きがあるため、一律の規制強化に踏み込むことができなかったためと考えられます。
実際、各国では対策に大きな違いが見られます。例えば、欧州議会は使い捨てプラスチックの使用を広範に禁止する方針を打ち出すなど、比較的厳しい規制を導入する姿勢です。一方、日本においては、まずレジ袋の有料化を検討するなど、慎重な姿勢が見受けられます。このように対策の足並みが揃わない状況では、国際的な合意形成が難航するのはやむを得ない部分もあるでしょう。
議長国を務めた日本は、今回の会合で全ての参加国の賛同を得るために、各国の意見を最大限に取り入れた「最大公約数」的な合意をまとめ上げました。これは政治的な成果としては評価できますが、裏を返せば、各国がそれぞれの国内事情を理由に、より厳しい対策から逃れてしまう余地を残したとも言えるでしょう。私個人としては、今回の枠組みが実効性を持つためには、将来的にはパリ協定のように拘束力のある削減目標を設定すべきだと考えます。
SNS上では、「この問題の深刻さに比して、合意内容が緩すぎるのではないか」「結局、各国のやる気次第ということか」といった、枠組みの実効性に疑問を投げかける声が目立っています。また、「まずは個人レベルでプラスチックの使用を減らすことが重要だ」と、市民一人ひとりの意識変革を訴える意見も多く見られました。しかし、国際枠組みができたことは大きな一歩であり、今後、各国がどこまで真摯にこれに取り組むかに、地球の未来はかかっていると言えるでしょう。