アジアの新たな成長エンジンとして注目を集めるバングラデシュから、エキサイティングなニュースが飛び込んできました。現地の配車サービス最大手「パタオ(Pathao)」が、最大で5,000万ドル、日本円にして約54億円という巨額の資金調達を間もなく完了させる見通しです。2019年9月27日、フセイン・エリウスCEOがシンガポールでの取材に対し、この野心的な計画を明らかにしました。
世界第8位の人口密度を誇るバングラデシュにおいて、慢性的な交通渋滞は社会課題の一つとなっています。パタオは、それまで市場に存在しなかった「2輪車タクシー」という画期的なソリューションを持ち込むことで、人々の移動に革命を起こしました。この利便性の高さはSNSでも大きな話題を呼んでおり、「渋滞をすり抜ける爽快感がたまらない」といったユーザーの熱狂的な支持が、同社の急速な成長を支える原動力となっているようです。
今回の資金調達には、インドネシアの配車大手「ゴジェック(Gojek)」やシンガポールの名門ベンチャーキャピタル「オープンスペース・ベンチャーズ」などが名を連ねています。これまでに累計3,500万ドルの出資を受けてきた同社にとって、今回の増資はさらなる飛躍のための重要なターニングポイントとなるでしょう。投資家たちの熱い視線は、バングラデシュが持つ高い経済成長のポテンシャルを象徴していると言えます。
日常生活を全方位で支える「スーパーアプリ」への進化
パタオが描く未来図は、単なる移動手段の提供にとどまりません。同社は現在、配車サービスに加え、食事のデリバリーや小包配送といった既存事業の拡大を急ピッチで進めています。さらに、2019年内にはネット通販サービスも立ち上げる予定です。このように、一つのアプリであらゆる生活ニーズを完結させる形態を「スーパーアプリ」と呼び、ユーザーの囲い込みを狙う戦略がアジアを中心にトレンドとなっています。
エリウス氏は、今後の展望としてデジタル・サービスへの本格参入も示唆しました。具体的には、音楽や映像のストリーミング、さらにはゲーム配信といったエンターテインメント領域を視野に入れています。ネット通販から娯楽までを網羅するこの戦略は、先行するゴジェックの成功モデルを彷彿とさせますが、バングラデシュ独自の市場文化にどう適応させていくのか、その手腕に期待が高まっています。
編集者の視点から見れば、パタオの挑戦は新興国における「リープフロッグ(カエル跳び)」現象の典型例と言えるでしょう。インフラが未整備な場所だからこそ、最新のテクノロジーが一気に普及し、既存の段階を飛び越えて社会がアップデートされていく様子は実に刺激的です。若きリーダーが率いるパタオが、アジアを代表する巨大テック企業へと成長する日は、そう遠くないのかもしれません。