社会の大きな変化に伴い、コンビニエンスストア業界のビジネスモデルが今、大きな転換期を迎えています。特に24時間営業の是非や、本部と加盟店との関係性について、公正取引委員会(公取委)がこの夏にも実態調査に乗り出す方針であることが注目を集めているのです。この調査では、コンビニ本部が加盟店に対し、24時間営業を不当に強制していないか、また加盟店からの契約見直し要請を一方的に拒否していないかという2つの論点が主な焦点になると見られています。
この問題の根底には、本部と加盟店の力関係があります。生計をコンビニ経営に頼っている加盟店オーナーの方々にとって、本部の「意向」は非常に重く、契約打ち切りなどの懸念から、たとえ運営コストや24時間営業の継続に問題を抱えていたとしても、表立って見直しを求めるのは難しい状況でした。しかし、現在深刻化している人手不足や、消費者ニーズの多様化が、本部側に事業モデルの抜本的な見直しを迫っていると言えるでしょう。
2018年末時点で、国内のコンビニ店舗数は約5万6千店に達しており、業界全体としては成長の壁に直面しています。こうした状況下で、本部も営業時間や店舗の運営コストといった加盟店の負担に、これまで以上に目を向けざるを得なくなっているのです。特に近年は働き方改革が進み、朝型志向の消費者が増えているため、「24時間営業を求めない消費者も増えている」という専門家の意見も聞かれます。
こうした状況は、SNSでも大きな反響を呼んでおり、「オーナーさんの負担を減らすべき」「時代遅れの24時間営業は見直すべき」といった、加盟店側に寄り添う声が多く見られます。一方で、「緊急時や夜間の利便性が失われるのは困る」といった、消費者の視点からの意見も一部見受けられる状況です。
私自身、この問題は、単なる個別企業と加盟店の契約問題ではなく、社会全体の変化がもたらした必然的な課題だと感じています。特に、本部の立場が加盟店よりも圧倒的に優位にある状況を背景とした「優越的地位の乱用」の懸念があるため、公取委の調査は、その実態を明らかにする上で重要な一歩となるでしょう。優越的地位の乱用とは、取引上の立場が強い企業が、その優位性を利用して、取引相手に不当な不利益を与える行為を指す独占禁止法上の概念です。
社会情勢の変化に対応する「新しい枠組み」の必要性
今回の問題は、人手不足や働き方改革といった社会情勢の変化に深く根差しているため、「公取委のガイドライン(指針)だけで解決できる問題ではない」という専門家の指摘もあります。このガイドラインとは、法的な拘束力を持つ法律とは異なり、法令の解釈や運用の方針を示す行政上の指針のことです。そのため、専門家の間では、特別法の制定を含めた、より強制力のある「新しい枠組み」で、本部と加盟店の契約のあり方に対応すべきだという意見が広がってきています。
加盟店オーナーの生活と権利を守りつつ、コンビニが持つ社会インフラとしての利便性も維持するためには、画一的なルールではなく、地域の状況や多様な働き方に合わせた柔軟な契約形態が求められるでしょう。公取委による実態調査の結果を待ちつつ、本部と加盟店、そして消費者の三者が納得できる、持続可能なコンビニ経営の形を模索していく必要があると考えられます。