世界各地で2020年春夏の新作が発表される華やかなファッションウィークが、2019年09月28日現在、大きな転換点を迎えています。ニューヨークやパリといった流行の発信地では、煌びやかなショーが連日開催されていますが、その裏側で「新作を次々と生み出すサイクル」への疑問が噴出しているのです。わずか3ヶ月前にはクルーズラインが発表され、店頭には9ヶ月前のプレフォールが並ぶという過剰な供給スピードは、現代の価値観から見ればどこか時代錯誤にすら感じられます。
SNS上では、ランウェイを歩くモデルよりも「誰がどのような格好で会場に現れたか」というフロントロウの顔ぶれに注目が集まっています。影響力を持つインフルエンサーたちは、新作を霞ませるほどの奇抜な装いで現れ、その姿が瞬時に世界へ拡散される光景が日常となりました。しかし、この狂騒の裏で、ファッション産業が石油産業に次いで地球環境を汚染しているという深刻な事実が、これまでにないほどの危機感を持って語られ始めているのは見逃せない事実でしょう。
環境への配慮か、それとも単なるパフォーマンスか
近年のトレンドを象徴する言葉が、持続可能性を意味する「サステナビリティ」です。各ブランドは競うように、廃棄された漁網などを再利用した「エコニール」といったリサイクル素材や、環境負荷の低い新素材の採用をアピールしています。エコニールとは、ナイロン廃棄物を再生して作られる画期的な素材であり、資源を循環させるための重要な鍵となります。しかし、ブランド側がいくら環境保護を訴えても、現場では目を疑うような矛盾が露呈しているのも事実です。
特に冷ややかな視線を浴びているのが、わずか10分程度のショーを観劇するために、プライベートジェットで駆けつけるゲストたちの姿です。パーティー会場でシャンパングラスを片手に気候変動の重要性を説きながら、その移動工程で膨大な二酸化炭素を排出する。この滑稽な二重基準に対し、SNSでは「言行不一致ではないか」という厳しい批判の声が相次いでいます。見せかけの環境配慮は、もはや目の肥えた現代の消費者には通用しなくなっているのです。
こうした状況を打破すべく、2019年08月にはフランスで「ファッション協定」が締結されました。これは世界を代表する32社が、気候変動や生物多様性の保護に向けて具体的な目標を掲げた歴史的な合意です。個人的には、この協定が単なるイメージ戦略に終わるのか、あるいは産業構造を根本から変える一歩になるのか、今まさにファッション界の「誠実さ」が試されていると感じます。言葉だけのエコは、もはやブランド価値を損なうリスクでしかありません。
今、モード界の視線は10代の環境活動家グレタ・トゥンベリさんを支持する「Z世代」へと向いています。デジタルネイティブであり、社会問題に敏感な彼らにとって、新作の華やかさよりも「約束が守られているか」という実態こそが重要です。大人が演じる「口先だけの環境保護」は、彼らの鋭い洞察力と怒りによって既に見透かされています。2019年09月28日の今、私たちが問われているのは、消費の喜びと地球の未来をいかに両立させるかという重い課題なのです。