2019年09月28日、日本の証券市場において注目の動きがありました。証券金融の要である日本証券金融(日証金)が、三菱地所物流リート投資法人(菱地所物流R)の投資証券に対し、貸借取引の申し込みを一時的に停止する措置を発表したのです。この決定は、2019年09月30日の約定分から適用される見通しとなっており、市場関係者の間では今後の価格形成に対する警戒感が高まっています。
今回の措置は、制度信用取引における「新規の空売り」や、買いポジションを解消する際の「現引き」に伴う申し込みを制限するものです。空売りとは、手元にない株を借りて売り、値下がりしたところで買い戻す手法を指します。市場の需給バランスが極端に偏った際、こうした規制が入ることは珍しくありませんが、物流系リートとして人気の高い銘柄だけに、SNSや投資家コミュニティでは「流動性が低下するのではないか」といった懸念の声が広がっています。
ここで重要な「現引き」という専門用語について解説しましょう。これは、信用取引で買った銘柄の代金を支払い、現物の証券として引き取る決済方法を意味します。今回の規制では、弁済の期限が迫った場合を除き、この現引きすらも制限されるという踏み込んだ内容になっています。つまり、投資家が自由にポジションを調整することが難しくなるため、短期的な需給の歪みが生じやすい局面にあると判断されたのでしょう。
物流リートの過熱感と今後の投資判断における編集部アイ
私自身の見解としては、今回の規制は銘柄の「過熱」を冷ますための、いわば安全装置の作動だと捉えています。近年の物流施設への投資需要は非常に強く、三菱地所グループという強固なバックボーンを持つ同銘柄は、投資家にとって魅力的な存在でした。しかし、買い注文が集中しすぎて空売り用の株が不足する「逆日歩(ぎゃくひぶ)」のリスクが高まっていた可能性も否定できません。逆日歩とは、株が足りない時に発生する追加の手数料のことです。
インターネット上の反応を見ても、「ここが絶好の売り場だったのか」と冷静に分析する層がいる一方で、規制解除後の反発を期待する声も散見されます。規制が入るということは、それだけ市場のエネルギーが溜まっている証拠とも言えるでしょう。投資家の皆様は、2019年09月30日以降の価格変動を注視しつつ、目先の動きに惑わされない慎重な判断が求められます。需給の正常化まで、少し様子を見るのが賢明な選択かもしれません。