2019年6月22日から8月25日にかけ、東京の出光美術館で開幕する「唐三彩―シルクロードの至宝」展は、古美術ファンや歴史愛好家から熱い視線を集めています。唐三彩とは、中国の唐時代(7世紀~10世紀)に栄えた、緑・褐(茶)・白を主とした3色で彩色された鉛釉陶器の総称です。その豪華絢爛な色使いと造形は、当時の華やかな文化を今に伝える貴重な遺産と言えるでしょう。
この美しい焼き物は、実は20世紀初頭に鉄道工事の際に偶然発見されるまで、その存在すら知られていなかった「幻の陶器」だったのです。主に王侯貴族の墓に副葬品として納められていたため、一般の人の目に触れる機会がなく、時を超えて封印されていたのですね。東西の文化交流が最も盛んだった唐の時代、陶芸技術の粋を集めて制作された唐三彩は、発見されるや否や、その華麗な装飾と高い芸術性から、瞬く間に世界中の収集家を魅了しました。インターネット上のSNSでも、「シルクロードのロマンを感じる」「実物を見てみたい」「開催が待ち遠しい」といった、期待のコメントが多く投稿され、大きな反響を呼んでいることが伺えます。
私見ではありますが、唐三彩の魅力は、その独特の色彩と、躍動感あふれる造形に尽きるのではないでしょうか。特に、釉薬が溶け合って生まれる自然なグラデーション(色彩の濃淡)は、まるで生きているかのような生命力を感じさせます。本展では、この至宝である唐三彩に加え、他の三彩技法を用いた作品も合わせて紹介されるため、唐時代の陶芸技術の奥深さと、その東西交流における位置づけを、多角的に理解できる貴重な機会となることでしょう。
✨ なぜ「唐三彩」は収集家を惹きつけるのか?その美術的価値を解説
唐三彩の「三彩」とは、先に述べたように、緑・褐・白の3色を基本とする彩色技法を指しますが、実際には藍や黄色なども加えられ、非常に多彩な表現がなされています。ここで使われる「鉛釉」という技法は、低温で焼成することによって鮮やかな色彩を発色させることができるのが特徴です。しかしながら、この鉛釉は古代中国では呪術的な意味合いも持ち、当時の権力者たちは、死後の世界でも華やかさを保つために、競ってこれらの豪華な陶器を墓に納めたと言われています。唐三彩は、シルクロードを通じた国際色豊かな文化の交流を象徴する、馬や駱駝、異国人の姿を模した作品が多く、当時の人々の暮らしや価値観を知る上でも、極めて重要な歴史資料としての側面も持っているのです。この機会に、遥か昔のロマン溢れる唐時代の美意識に触れてみるのはいかがでしょうか。