モバイル業界に今、大きな変革の波が押し寄せています。2019年09月20日に開催された総務省の有識者会議にて、格安スマホを展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)の業界団体が、次世代のビジネスモデル「VMNO(仮想通信事業者)」という画期的な構想を発表しました。これは単なる低価格路線の延長ではなく、5G時代の到来に合わせた劇的な進化を意味しているのです。
テレコムサービス協会の島上純一委員長は、これまでのMVNOが安さを武器にしてきたのに対し、今後はより高度で多種多様なサービスを提供する存在へ脱皮すると強調されました。SNS上でも「格安スマホが安さ以外で勝負する時代が来るのか」「5Gで通信の質がどう変わるのか楽しみだ」といった期待の声が広がっています。2001年から始まった日本のMVNOの歴史は、今まさに大きな転換点を迎えていると言えるでしょう。
この構想の鍵を握るのが、5Gの目玉技術である「スライシング」です。これは1つの物理的な回線を、用途に合わせて仮想的に切り分ける技術を指します。例えば、高画質な動画視聴には「高速・大容量」なスライスを、スマートメーターなどのIoT機器には「低速だが遅延のない」スライスを割り当てることが可能です。これにより、利用シーンに最適化されたオーダーメイドの通信環境が実現します。
自由度の高い「ライト」と、災害に強い「フル」の二極化
新構想では、主に2つの事業形態が提唱されています。1つ目は「ライトVMNO」です。これは大手キャリアが持つスライシング機能の一部を、外部事業者が自らコントロールできる仕組みです。これにより、法人向けサービスや特定のデバイスに特化した自由度の高いプラン設計が可能になります。専門的な知識がなくても、用途に合わせた最適な通信を選べる時代がすぐそこまで来ているのです。
2つ目の形態は、さらに踏み込んだ「フルVMNO」と呼ばれます。こちらは事業者自らが基幹網(コアネットワーク)を構築し、複数の大手キャリアの無線網と接続するスタイルです。特定のキャリアに依存しないため、万が一の災害時にも別の回線に切り替えて通信を維持できるという強みがあります。社会インフラとしての信頼性が飛躍的に高まるため、命に関わる遠隔医療などの分野での活用も期待されています。
私自身の見解としては、このVMNOへの進化は日本が掲げる未来社会「Society 5.0」の実現に不可欠なピースだと確信しています。あらゆるモノがネットにつながる時代、一律の通信サービスでは限界があるからです。課題は、大手キャリアに支払うネットワーク利用料の制度設計でしょう。2022年から2023年ごろのサービス開始を目指し、公平な競争環境が整うことが、私たちユーザーの利益に直結するはずです。