これは、オカムラ専務である佐藤潔氏が、人生の宝として大切にしている友人との心温まる交友関係を綴ったエッセイでございます。物語は、佐藤氏が東京三菱銀行(現在の三菱UFJ銀行)から岡村製作所(現在のオカムラ)へと転じた今から17年前、現在のオカムラ社長である中村雅行氏からかけられた、ある一言から始まりました。「佐藤さん、もしかして市瀬君って知り合いですか?」というこの一言が、奇妙なご縁で結ばれた三人の親交のきっかけとなったのです。
その「市瀬君」こと内科医の市瀬裕一氏は、何を隠そう佐藤氏が通っていた名門「私立武蔵高等学校中学校」の同級生で、さらに偶然にも中村社長の小学校時代の同級生でもあったのです。この不思議な糸に導かれて結びついた三人は、それ以来、夜な夜な酒を酌み交わし、青春時代の懐かしい思い出話に花を咲かせる間柄になったと述べています。学生時代を共に過ごした友人は、何物にも代えがたい大切な存在であると、佐藤氏は熱く語っていらっしゃいます。
努力家にして人望厚き盟友
特に盟友の一人である市瀬氏は、まさに絵に描いたような優等生だったそうです。学業に大変熱心で、中学校と高校の卒業式では、卒業生を代表する「総代」を務めるほど優秀でした。佐藤氏は中学時代、そんな彼をひそかに意識し、良きライバルとして切磋琢磨していたと回想しています。しかし、高校に進学してからは、医師を志して理系へと進んだ市瀬氏と、道を違えたため、競い合うことはなくなりました。その後、慶應大学医学部に進学した市瀬氏は、内科医の道を選び、特に「呼吸器」の専門家として研鑽を積まれました。呼吸器とは、息をするために必要な器官、つまり肺や気管支などを指す部位のことです。
市瀬氏の優しく誠実な人柄と、真面目な勤務態度が周囲から高く評価され、現在では東京・新宿に位置する「聖母病院」の名誉院長に就任されています。同級生の中に医師は少なくないそうですが、市瀬氏の「人望の厚さ」は群を抜いていると佐藤氏は断言しています。多くの同窓生が「健康のことで最初に相談するのは、必ず市瀬君」と信頼を寄せていることからも、その人間性が窺い知れるでしょう。佐藤氏の言葉の端々からは、盟友への尊敬の念が強く伝わってまいります。
友情の絆を深める夜のカラオケ
この三人が集まって飲む夜は、尽きることがありません。たびたび深夜までカラオケを楽しまれるそうです。市瀬氏が十八番、つまり一番の得意曲として歌い上げるのは、ビリー・バンバンの名曲「白いブランコ」とのことです。ビジネスの第一線で活躍する多忙な三人が、深夜まで青春時代の思い出を語り合い、熱唱する姿を想像すると、胸が熱くなります。学生時代からの友人との絆は、社会的な地位や立場を超えて、かけがえのないものとして存在し続けるのです。
佐藤氏は、この不思議なご縁で繋がれた交友関係を、これからも「人生の宝」として大切に育んでいきたいと結んでいます。このエッセイから伝わるのは、損得勘定抜きで築かれた、真の友情の美しさです。ビジネスの厳しい世界で戦う専門の立場にある方々にとって、心を許せる友人との時間は、何よりの活力となるのではないでしょうか。読者の皆様も、ご自身の人生を豊かにしてくれる友人との関係を、今一度見つめ直してみる良い機会になることでしょう。