【2019年株主総会】「支配会社からの社上取締役」はマイナス!企業価値を高める攻めのガバナンス改革とは?

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2019年6月下旬より本格化する株主総会では、企業統治(ガバナンス)の健全化と経営監視の強化が大きな焦点となっております。特に、社外取締役の増員と、その「質」の向上が強く求められているのです。企業統治とは、株主をはじめとする様々な利害関係者(ステークホルダー)からの信頼を得て、企業価値を継続的に高めていくための仕組みのことで、その要となるのが独立した立場の社外取締役だと言えるでしょう。

最近では、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社といった、より厳格なガバナンス体制を採用する企業に対して、社外取締役の比率が全体の3分の1未満であれば、選任に反対の意思を示す機関投資家が目立って増えてきています。これは、単に人数を揃えるだけでなく、取締役会における独立性を確保し、経営の監視機能を強化しようという強い意思の表れにほかならないでしょう。

さらに、単なる数合わせだけでなく、その「質」を厳しく問う動きも本格化しています。例えば、取締役会への出席率が低い候補者や、株式の保有など経済的なつながりが深く、真の独立性がないと見なされる支配会社からの派遣候補者に対しては、明確に反対票を投じる機関投資家が増加傾向にあるのです。SNS上でも、「形だけの社外取締役はいらない」「経営層に厳しい意見を言える人材を」といった、より実効性のあるガバナンスを求める声が相次いでいる状況です。

社外取締役の顔ぶれとしては、弁護士、会計士、大学教授、他社の社長経験者、そして元高級官僚といった方々が依然として多い傾向が見受けられます。しかし、真に経営革新を推し進めたいと考える企業は、業界知識や専門的な知見に富んだ優秀なアナリストやコンサルタントを積極的に登用し始めています。彼らは、執行サイドが用意した「波風が立たない」シナリオ通りの取締役会ではなく、企業価値を最大化するための白熱した議論ができる場へと変革させる力を持っているからです。

こうした意識変革こそが、株主をはじめとするステークホルダーの期待に応えるためには極めて重要だと考えられます。私見を述べさせていただきますと、取締役会は経営陣の追認機関であってはならず、「攻めのガバナンス」として、企業価値向上に資する深いディスカッションと意思決定を行う「価値創造のエンジン」として機能すべきだと思います。

一方で、一部の大手企業で見られるのが、売上などで関係性の深い自社グループ企業の社長が、その子会社の社外取締役となるケースです。この記事では、これを「社上取締役」という皮肉な表現で警鐘を鳴らしています。支配会社から派遣された取締役は、当然ながら「忖度(そんたく)」、つまり立場上の配慮が働きやすく、健全で独立した立場での議論が困難になるリスクがあります。これは取締役会の形骸化を招き、ガバナンスにとって明らかにマイナス要因となるでしょう。

このような独立性に欠ける候補者に対する株主総会での反対票の比率こそが、2019年6月時点における日本企業のガバナンスレベルを測る重要な試金石となるに違いありません。真の企業価値向上を目指すためには、形だけの制度導入ではなく、取締役会が実質的に機能し、独立した意見が反映される環境を整えることが急務と言えるでしょう。

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