約40兆円という途方もない規模の資産を運用する、カナダ発の巨大グローバル投資運用会社ブルックフィールドが、いよいよ日本市場での攻勢を本格化させる方針を打ち出しました。同社はアメリカでデータセンター事業などを展開するほか、世界規模でインフラや再生可能エネルギーといった分野へ積極的に投資をしてきた実績を持っています。日本における事業展開への期待感を、ブルックフィールドのブルース・フラット最高経営責任者(CEO)に、2019年6月17日に単独で尋ねた内容をご紹介いたしましょう。
フラットCEOは、まず日本市場を「世界で最も安定している市場の一つ」として非常に高く評価しています。すでに多くの素晴らしいグローバル企業と取引関係を築いていることを強調し、同社が主軸とする不動産、インフラ、再生可能エネルギー、そしてプライベートエクイティという4つの分野、そのすべてにビジネスチャンスがあると確信しているようです。特にプライベートエクイティとは、未公開株や非上場企業に対する投資を指す専門用語であり、日本では事業再編が加速しているため、この分野への期待は非常に大きいと言えるでしょう。
同社の投資手法は、単に資金を提供するだけでなく、企業運営に焦点を当て、経営陣と友好的な関係を築きながら企業の成長を支えるというものです。CEOは「会社の株主がメリットを受けられる形で目標達成をお手伝いする」と述べ、このサービスがまさに日本が現在必要としているニーズと合致しているため、今後、投資機会が増えていく可能性が高いとの見解を示されています。大規模な資本提供と運営ノウハウを組み合わせることで、日本企業の再編を後押しする力強い存在となることでしょう。
また、日本への具体的な投資規模についても言及されました。当初は100億ドルから200億ドル(当時のレートで約1兆800億円から2兆1600億円)規模を想定しているようですが、それをさらに上回る可能性も十分にあり得るとのことです。同社が長期的なビジネス展開を掲げていることから、将来的にはブルックフィールドグループ全体の事業に占める日本の割合が、非常に大きなものになるという見通しを語られています。
日本の「バリュー市場」で狙うIT化促進という新たな価値
フラットCEOは、日本の不動産市場の魅力についても分析されています。すでに不動産証券や不動産投資信託(REIT)などの金融商品を通じて資金運用を行っていますが、同社が最も注力したいのは、独自の強みが活かせる分野への投資です。日本を「成長市場というよりバリュー市場」だと捉えており、新規のニーズが高い中国のような「成長市場」とは性質が異なると指摘されています。バリュー市場とは、企業の持つ本来の価値(バリュー)に対して、株価や不動産価格が割安になっていると判断される市場のことでしょう。
このバリュー市場である日本においては、オフィスや商業施設のIT化(情報技術の導入)を促進するなど、違う形での投資が必要になると分析されています。例えば、アメリカの大手通信会社からデータセンターサービス事業を買収した実績や、米ジョンソンコントロールズインターナショナルから車載向け蓄電池事業を買収した経験を通じて得た「運営ノウハウ」は、日本企業との様々な連携に活かせると期待されているのです。これは、私が考えるに、単なるモノやサービスの提供ではなく、既存のインフラや施設にデジタルの力を加えて新たな価値を生み出す「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進役として、ブルックフィールドが名乗りを上げていると言えるでしょう。
現在の世界情勢、特に米中貿易摩擦などによる不安定さについても質問が向けられました。これに対しCEOは、世界の政治は二極化し問題を抱えてはいるものの、経済はプラス成長を続けており、企業業績の回復サイクルも10年目に入っているという冷静な現状認識を示されています。同社は世界中で長期的な視点に立ち、最適な国や地域を見つけて投資を行うため、短期的な経済や政治の問題に左右されることなく事業を運営している、と強調されています。世界の経済は長期的には必ず成長するという信念のもと、投資方針が変わることはない、と力強く締めくくられました。
SNS上でも「約2兆円の投資はすごい」「日本市場が再び注目されている証拠だ」といった、その投資規模に対する驚きや期待の声が多数見受けられます。ブルックフィールドの巨大な資本と、世界で培ったノウハウが、日本の老舗企業の事業再編や、オフィス・商業施設のIT化という新たな波にどのように影響を与えるのか、今後の動向から目が離せません。