⚓️【地域活性化の鍵】「このセカ」聖地巡礼で甦る!元日銀マンが仕掛ける呉市の観光戦略と挑戦

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戦艦大和のふるさととして名高い広島県呉市は、いまや大人気アニメ映画「この世界の片隅に」、通称**「このセカ」の舞台として、国内外から大きな注目を集めています。長年にわたり海軍の町として栄えたこの街ですが、近年は人口流出の影響で、呉駅を挟んで戦艦大和の模型などを展示する「大和ミュージアム」とは反対側に位置する商店街などは、かつての活気を失いつつありました。この状況を打破し、地域を再び盛り上げようと尽力しているのが、NPO法人「くれ街復活ビジョン」の理事を務める堂下大地さん(61)です。

堂下さんは、地元呉の復興を支えるため、独自の観光戦略を打ち出しました。もともと呉には、「大和ミュージアム」という強力な観光資源はありましたが、それだけでは街全体への波及効果が限定的です。そこで堂下さんが、大和に続く“第2の目玉”を生み出そうと、2010年という早い段階から商店街の一角に観光客向けの案内所を設置。来るべき注目コンテンツの登場に備えていたのです。

そして2016年、ついにその努力が実を結びました。公開されたアニメ映画「この世界の片隅に」は、第二次世界大戦下の広島・呉を舞台に、主人公すずさんが懸命に生きる姿を描いた作品で、その繊細な描写とリアリティが大きな感動を呼びました。この映画のヒットによって、案内所の年間来訪者数はそれまでの約3倍にも急増。映画に登場する実在の場所、すなわち「聖地」を巡る「聖地巡礼」で、多くのファンが呉市を訪れるようになったのです。

案内所では、映画に出てくる建物や風景などへの道順を記したオリジナルマップを配布しています。さらに、スタッフが常駐して親切に解説を加えるなど、熱心なファンによる聖地巡礼を細やかにサポートしている状況です。SNS上でも、ファンからは「看板の案内が嬉しい」「すずさんが実際に暮らしていそうな、呉の海の清さに、ふんわりとした温かさを感じた」といった喜びの声が上がっており、その丁寧な対応が、訪問客の満足度を高めていることが伺えます。

地域活性化への情熱を燃やす堂下さんの経歴は異色です。大学卒業後は日本銀行に入行し、エリート街道を歩んでいましたが、50歳を超えた頃から「地域社会に貢献したい」という思いが募り、高校時代を過ごした思い出深い呉へ戻ることを決意されました。2009年には呉信用金庫に転身し、理事として地域に根差した金融活動に携わる傍ら、このNPO法人の立ち上げを主導。まさに、その金融マンとしての緻密な戦略眼と、故郷への熱い想いが、この成功の礎となっているのでしょう。

私見ですが、この「このセカ」という作品は、単なるアニメの枠を超え、戦争の時代にも日常と生活があったという大切な視点を私たちに教えてくれます。その舞台である呉市が、聖地巡礼を通じて新たな光を浴びることは、歴史を未来へつなぐという意味でも非常に価値が高いと言えます。観光客が街を歩き、映画の登場人物と同じ景色を見ることで、物語への理解が深まり、呉という街そのものの魅力に惹きつけられていくのだと感じます。

今後の展望として、2019年12月には「このセカ」の拡大版(ロングバージョン)が公開される予定で、さらなる注目度アップが期待されます。現在、広島県の観光地として多くの人が訪れるのは、世界遺産である原爆ドームや宮島が主軸となっています。しかし堂下さんは、この「このセカ」ブームを追い風に、「第3の場所として呉を売り込みたい」と熱意を込めて語っておられます。歴史と文化、そして物語に彩られた呉市の新しい観光戦略**は、今まさに大きな一歩を踏み出している最中でしょう。

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